
内容紹介
科学、自然界、工学および我々の社会生活において、“同期”という現象が偏在するものであることに最初に気付いたのはクリスチャン・ホイヘンスであり、時代は1665年にまで遡る。時計、コオロギの歌声、慨日リズムのペースメーカー、ニューロンの発火、聴衆の拍手等の多種多様なシステムは同期を伴って動作することが多い。このような同期現象は普遍的なものであり、最新の非線形動力学の枠組みに基づいて、共通の現象として理解することが可能。本書の前半では、数式を使用せずに同期現象を記述し、定性的で直感的な理解を行うことに重点をおく。同期現象にみられる主要な効果は実験における例や図などを用いて説明し、歴史的な経緯についても概説。後半では同期の効果を厳密かつ体系立てて説明。周期振動子の同期に関する古典的な結果と、カオス振動子、大規模集団、振動媒質に関する最近の結果を紹介。
目次
第1章 導入
第Ⅰ部 同期:数式を用いない方法
第2章 基本概念:自律振動子とその位相
第3章 外力による周期振動子の同期
第4章 二つあるいは多数の振動子の同期
第5章 カオスシステムの同期
第6章 実験における同期の検出
第II部 位相ロッキングと周波数引き込み
第7章 周期外力による周期振動子の同期
第8章 相互作用する二つの周期振動子における相互同期
第9章 ノイズの存在下における同期
第10章 カオスシステムの位相同期
第11章 振動媒質における同期
第12章 大域結合振動子の集団
第III部 カオスシステムの同期
第13章 完全同期I:基本概念
第14章 完全同期II:一般化と複雑系
第15章 外力による複雑ダイナミクスの同期
付録A1 クリスチャン・ ホイヘンスによる同期の発見
付録A2 信号の瞬時位相と瞬時周波数