同期理論の基礎と応用

同期理論の基礎と応用

数理科学、化学、生命科学から工学まで
原書名 Synchuonization A Universal Concept In Nonlinear Sciences
著者名 徳田 功
発行元 丸善出版
発行年月日 2009年12月
判型 A5 210×148
ページ数 448ページ
ISBN 978-4-621-08189-1
Cコード 3541
NDCコード 421
ジャンル 物理学 >  振動・波動

内容紹介

科学、自然界、工学および我々の社会生活において、“同期”という現象が偏在するものであることに最初に気付いたのはクリスチャン・ホイヘンスであり、時代は1665年にまで遡る。時計、コオロギの歌声、慨日リズムのペースメーカー、ニューロンの発火、聴衆の拍手等の多種多様なシステムは同期を伴って動作することが多い。このような同期現象は普遍的なものであり、最新の非線形動力学の枠組みに基づいて、共通の現象として理解することが可能。本書の前半では、数式を使用せずに同期現象を記述し、定性的で直感的な理解を行うことに重点をおく。同期現象にみられる主要な効果は実験における例や図などを用いて説明し、歴史的な経緯についても概説。後半では同期の効果を厳密かつ体系立てて説明。周期振動子の同期に関する古典的な結果と、カオス振動子、大規模集団、振動媒質に関する最近の結果を紹介。

目次

 第1章 導入
  1.1 同期の歴史的展望
  1.2 同期の概観
  1.3 異なるケースにおける同期の概観
  1.4 主要文献
第I部 同期:数式を用いない方法
 第2章 基本概念:自律振動子とその位相
  2.1 自律振動子:自然系の数理モデル
  2.2 位相:定義と性質
  2.3 自律振動子:主要な特徴
  2.4 自律振動子:さらなる例と議論
 第3章 外力による周期振動子の同期
  3.1 弱い強制力を受ける準線形振動子
  3.2 外力による同期:拡張議論
  3.3 弛緩振動子の同期:特徴
  3.4 ノイズ下での同期
  3.5 多様な例
  3.6 同期周辺の現象
 第4章 二つあるいは多数の振動子の同期
  4.1 自律振動子の相互同期
  4.2 鎖,格子,そして振動媒質
  4.3 大域結合振動子
  4.4 多様な例
 第5章 カオスシステムの同期
  5.1 カオス振動子
  5.2 カオス振動子の完全同期
  5.3 カオス振動子の完全同期
 第6章 実験における同期の検出
  6.1 データからの位相と周波数の推定
  6.2 “能動的”あるいは“受動的”実験におけるデータ解析
  6.3 位相の間の関係を解析する
  6.4 結論と参考文献
第II部 位相ロッキングと周波数引き込み
 第7章 周期外力による周期振動子の同期
  7.1 位相方程式
  7.2 弱非線形振動子
  7.3 サークル写像と円環写像
  7.4 回転子の同期とジョセフソン接合子
  7.5 位相同期回路
  7.6 文献注釈
 第8章 相互作用する二つの周期振動子における相互同期
  8.1 位相方程式
  8.2 弱非線形振動子
  8.3 弛緩振動子
  8.4 文献注釈
 第9章 ノイズの存在下における同期
  9.1 ノイズの存在下における自立振動子
  9.2 ノイズの存在下における同期
  9.3 文献注釈
 第10章 カオスシステムの位相同期
  10.1 カオス振動子の位相
  10.2 カオス振動子の同期
  10.3 文献注釈
 第11章 振動媒質における同期
  11.1 振動子格子系
  11.2 空間連続な位相輪郭
  11.3 弱非線形の振動媒質
  11.4 文献注釈 
 第12章 大域結合振動子の集団
  12.1 蔵本遷移
  12.2 ノイジーな振動子
  12.3 一般化
第III部 カオスシステムの同期
 第13章 完全同期I:基本概念
  13.1 最も単純なモデル:二つの結合写像
  13.2 同期状態の安定性
  13.3 同期発現:統計理論
  13.4 同期の発生:幾何学的側面
  13.5 文献注釈  
 第14章 完全同期II:一般化と複雑系
  14.1 等価写像,一般の結合演算子
  14.2 連続時間系
  14.3 空間分布系
  14.4 一般の対象状態として見た同期
  14.5 文献注釈 
第15章 外力による複雑ダイナミクスの同期
  15.1 ノイズ外力による同期
  15.2 ノイズ外力による同期
  15.3 カオス外力によるカオス振動子の同期
  15.4 文献注釈
付録A1 クリスチャン・ ホイヘンスによる同期の発見
  A1.1 クリスチャン・ホイヘンスから父コンスタンティン・ホイヘンスへ宛てた手紙
  A1.2 海上の時計(時計の共感)V部
付録A2 信号の瞬時位相と瞬時周波数
  A2.1 解析信号とヒルベルト変換
  A2.2 例
  A2.3 数値計算:実践的ヒントとコツ
  A2.4 瞬時周波数の計算

定価:9,680円
(本体8,800円+税10%)
在庫:絶版