エリック・ボガティン 高速デジタル信号の伝送技術

エリック・ボガティン 高速デジタル信号の伝送技術

シグナルインテグリティ入門
原書名 Signal and Power Integrity-Simplified 2nd ed.
著者名 須藤 俊夫 監訳
発行元 丸善出版
発行年月日 2010年07月
判型 A5 210×148
ページ数 676ページ
ISBN 978-4-621-08261-4
Cコード 3055
ジャンル 電気・電子・情報工学 >  電子・通信

内容紹介

本書は、「シグナルインテグリティ」(デジタル信号を正しく伝送する技術)に注目し、その基本原理をわかりやすく解説したもの。難解といわれるインダクタンスには1章を割いて詳細に記述をしているほか、原書の改訂版で新たに加えられた「パワーインテグリティ」(電源品質)についても、電源のターゲットインピーダンスに着目し、詳しく言及。これから高速回路設計に携わろうとする入門者の学習書として、さらには高速化の進展によりさまざまな問題に直面しているエンジニアの方にも新たな発見を見いだせる一冊。

目次

第1章 避けて通れないシグナルインテグリティ問題
 1.1 シグナルインテグリティとは
 1.2 1本のネットの信号品質
 1.3 クロストーク
 1.4 電源電圧降下(rail-collapse noise)
 1.5 電磁干渉(EMI:electromagnetic interference)
 1.6 シグナルインテグリティの2つの重要な共通概念
 1.7 電子機器のトレンド
 1.8 新しい設計方法の必要性
 1.9 新しい製品設計手法
 1.10 シミュレーション
 1.11 モデル化手法とモデル
 1.12 計算から回路モデルをつくる方法
 1.13 3タイプの測定
 1.14 測定の役割
 1.15 まとめ   
第2章 タイムドメインと周波数ドメイン
 2.1 タイムドメインとは
 2.2 周波数ドメインとは
 2.3 周波数ドメインを用いることの利点
 2.4 正弦波の特徴
 2.5 フーリエ変換
 2.6 周波数波形のスペクトラム
 2.7 理想的矩形波のスペクトラム
 2.8 周波数ドメインからタイムドメインへの変換(逆フーリエ変換)
 2.9 帯域の立上り時間への影響
 2.10 帯域と立上り時間の関係
 2.11 有効な帯域とは
 2.12 実際の信号のもつ帯域
 2.13 帯域とクロック周波数
 2.14 測定帯域
 2.15 モデルの帯域
 2.16 信号配線の帯域
 2.17 まとめ
第3章 インピーダンスと電気的モデル
 3.1 インピーダンスからみたシグナルインテグリティの解決策
 3.2 インピーダンスとは何か
 3.3 回路素子の理想と現実
 3.4 タイムドメインの理想抵抗のインピーダンス
 3.5 タイムドメインの理想キャパシタのインピーダンス
 3.6 タイムドメインの理想インダクタのインピーダンス
 3.7 周波数ドメインのインピーダンス
 3.8 等価回路モデル
 3.9 回路理論とSPICE
 3.10 モデリングの導入
 3.11 まとめ 
第4章 抵抗の物理的基礎
 4.1 物理構造を電気特性へ変換する
 4.2 配線抵抗のよい近似式
 4.3 バルク低効率
 4.4 単位長当たりの抵抗
 4.5 シート抵抗
 4.6 まとめ
第5章 キャパシタンスの物理的基礎
 5.1 キャパシタに流れる電流
 5.2 球のキャパシタンス
 5.3 平行平板近似
 5.4 誘電率
 5.5 電源・グラウンドプレーンとデカップリング容量
 5.6 単位長当たりのキャパシタンス
 5.7 2次元電磁界ソルバ
 5.8 実効誘電率
 5.9 まとめ
第6章 インダクタンスの物理的基礎
 6.1 インダクタンスとは何か
 6.2 インダクタンス原則1:すべての電流の周囲には円形リングの磁力線がある
 6.3 インダクタンス原則2:インダクタンスは1Aの電流がながれる導体周囲の磁力線リングのウェーバ数である
 6.4 自己インダクタンスと相互インダクタンス
 6.5 インダクタンス原則3:導体周囲の磁力線リングの数が変化するとき,導体の両端に誘起される電圧
 6.6 部分インダクタンス
 6.7 実効,全,総合インダクタンスとグラウンドバウンス
 6.8 ループ自己インダクタンスとループ相互インダクタンス
 6.9 電源分配ネットワーク(PDN)とループインダクタンス
 6.10 スクエア当たりのループインダクタンス
 6.11 ビアで接続されたプレーンのループインダクタンス
 6.12 クリアランスホールのあるプレーンのループインダクタンス
 6.13 ループ相互インダクタンス
 6.14 複数個のインダクタの等価インダクタンス
 6.15 インダクタンスに関するまとめ
 6.16 電流分布と表皮深さ
 6.17 高透磁率材料
 6.18 渦電流
 6.19 まとめ 
第7章 伝送線路の物理
 7.1 グラウンドという用語は忘れよう
 7.2 信号
 7.3 均一な伝送線路
 7.4 銅配線中の電子んの速度
 7.5 伝送線路上の信号伝搬速度
 7.6 信号の立上り部分の空間的な広がり
 7.7 信号の立場になってみよう
 7.8 伝送線路上の瞬時インピーダンス
 7.9 特性インピーダンスとインピーダンス制御
 7.10 有名な線路の特性インピーダンス
 7.11 伝送線路のインピーダンス
 7.12 伝送線路の駆動
 7.13 リターン経路(return path)
 7.14 リターン経路が基準プレーンを変えるとき
 7.15 伝送線路の1次モデル
 7.16 近似による特性インピーダンスの計算
 7.17 2次元電磁界ソルバを用いた特性インピーダンスの計算 
 7.18 n個の区間に分割された回路モデル
 7.19 特性インピーダンスの周波数個性
 7.20 まとめ 
第8章 伝送線路と反射
 8.1 インピーダンス変化点での反射
 8.2 なぜ反射は起こるのか
 8.3 抵抗負荷による反射
 8.4 信号源インピーダンス
 8.5 ラティスダイアグラム
 8.6 反射信号のシミュレーション
 8.7 TDRによる反射測定
 8.8 伝送線路上の意図しないインピーダンス不連続性
 8.9 どのようなときに終端すべきか
 8.10 1対1接続の最も共通な終端方式
 8.11 短い直列伝送線路での反射
 8.12 短いスタブでの反射
 8.13 伝送線路遠端の容量性負荷での反射
 8.14 伝送線路途中の容量性負荷での反射
 8.15 容量性負荷の遅延増加作用
 8.16 伝送線路のコーナーとビアの影響
 8.17 負荷のついた伝送線路
 8.18 誘導性のインピーダンス不連続での反射
 8.19 補償
 8.20 まとめ
第9章 損失のある伝送線路と立上り時間の劣化,材料特性
 9.1 なぜ線路の損失に注意しなければならないか
 9.2 伝送線路の損失
 9.3 損失の原因,導体抵抗と表皮深さ
 9.4 損失の原因である誘電体
 9.5 損失計数(dissipatin factor)
 9.6 損失係数の実際の意味
 9.7 損失係数のある伝送線路のモデル化
 9.8 損失のある伝送線路の特性インピーダンス
 9.9 損失性伝送線路の信号速度
 9.10 減衰とデシベル
 9.11 損失性線路における減衰
 9.12 損失線路の周波数特定の測定
 9.13 配線の帯域
 9.14 損失線路のタイムドメインの挙動
 9.15 伝送線路のアイダイアグラムの改善
 9.16 プリエンファシスとイコライザ
 9.17 まとめ
第10章 伝送線路のクロストーク
 10.1 重ね合せ
 10.2 結合の起源,容量とインダクタンス
 10.3 伝送線路のクロストーク:近端クロストーク(NEXT)と遠端クロストーク(FEXT)
 10.4 クロストークの記述
 10.5 SPICE容量行列
 10.6 マクスウェル容量行列表現と2次元電磁界ソルバ
 10.7 インダクタンス行列
 10.8 均一伝送線路のクロストークと飽和長
 10.9 容量結合性ノイズ電流
 10.10 誘導結合性電流
 10.11 近端クロストーク
 10.12 遠端クロストーク
 10.13 遠端クロストークの低減
 10.14 クロストークのシミュレーション
 10.15 ガード配線
 10.16 クロストークと誘電率
 10.17 クロストークとタイミング
 10.18 スイッチングノイズ
 10.19 クロストークを減少させるためには
 10.20 まとめ
第11章 差動ペアと差動インピーダンス
 11.1 差動信号伝送
 11.2 差動ペア
 11.3 結合のない場合の差動インピーダンス
 11.4 結合の影響
 11.5 差動インピーダンスの計算
 11.6 差動ペアでのリターン電流分布
 11.7 奇モードと偶モード
 11.8 差動インピーダンスと奇モードインピーダンス
 11.9 コモンインピーダンスと偶モードインピーダンス
 11.10 差動信号とコモン信号,および奇モードと偶モードの電圧成分
 11.11 各モードの速度と遠端クロストーク
 11.12 理想的な結合をした伝送線路モデルまたは理想的な差動ペア
 11.13 偶モードインピーダンスと奇モードインピーダンスの測定
 11.14 差動信号とコモン信号の終端
 11.15 差動信号のコモンモード信号への変換
 11.16 EMIとコモンモード信号
 11.17 差動ペアのクロストーク
 11.18 リターン経路のギャップを交差する
 11.19 密結合か,疎結合か
 11.20 キャパシタンスとインダクタンス行列要素から偶奇モードを計算する
 11.21 特性インピーダンス行列
 11.22 まとめ
第12章 シグナルインテグリティへのSパラメータの適用
 12.1 新たな評価指標としてのSパラメータ
 12.2 Sパラメータとは?
 12.3 Sパラメータの基本形式
 12.4 Sパラメータ行列の各要素
 12.5 リターンロスとインサーションロスのシミュレーション
 12.6 透明な配線
 12.7 ポートインピーダンスの変更
 12.8 一様な50Ω伝送線路におけるS21の位相
 12.9 一様な伝送線路におけるS21の振幅
 12.10 ほかの伝送線路との結合
 12.11 50Ωでない伝送線路でのインサーションロス
 12.12 Sパラメータから得られる情報
 12.13 シングルエンドと差動Sパラメータ
 12.14 差動インサーションロス
 12.15 モード変換
 12.16 ミックスモードSパラメータへの変換
 12.17 タイムドメインと周波数ドメイン
 12.18 まとめ
第13章 電源分配ネットワーク(PDN)
 13.1 課題
 13.2 根本原因
 13.3 PDNの最も重要な設計ガイドライン
 13.4 ターゲットインピーダンスを決めるのは難しい
 13.5 製品ごとのPDNに対する要求事項
 13.6 PDN設計
 13.7 電圧レギュレータモジュール
 13.8 SPICEによるインピーダンスのシミュレーション
 13.9 オンチップキャパシタ
 13.10 パッケージの障害
 13.11 デカップリングキャパシタがないPDN
 13.12 MLCC(multiayer ceramic capacitor)
 13.13 等価直列インダクタンス
 13.14 近似ループインダクタンス
 13.15 キャパシタの最適配置
 13.16 キャパシタを並列に組み合わせる
 13.17 キャパシタの追加により並列共振ピークを減らす
 13.18 容量値の選択
 13.19 必要なキャパシタ個数の見積もり
 13.20 nHのコストはいくら?
 13.21 量か,それとも特定の値か?
 13.22 インピーダンス特性を彫刻する,周波数ドメイン・ターゲットインピーダンス(FDTI)法
 13.23 pHごとに計算する
 13.24 配置,配置,配置
 13.25 拡散インダクタンスが制約となるとき
 13.26 チップからの眺め
 13.27 すべて一緒に
 13.28 まとめ
付録A シグナルインテグリティ問題を解決するための100の設計ガイドライン
付録B シグナルインテグリティ効果を見積もるための100の経験則
付録C 主要参考文献

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