熱量測定・熱分析ハンドブック 第2版

熱量測定・熱分析ハンドブック 第2版

著者名 日本熱測定学会
齋藤 一弥 編集委員長
発行元 丸善出版
発行年月日 2010年01月
判型 B5 257×182
ページ数 382ページ
ISBN 978-4-621-08192-1
Cコード 3058
NDCコード 501
ジャンル 化学・化学工学 >  物理化学 >  熱力学

内容紹介

本書は、熱量測定と熱分析の基礎から応用までを網羅したハンドブック。前半で、熱量測定・熱分析の基本的測定技法や基礎的知識を解説。各実験手法の特徴や限界を、現場の専門家の視点で記述。後半はこうした基本に基づいた応用例として、金属・合金や無機化合物、高分子や生体分子、医薬品・食品・生物材料といった分野に広範に応用できる実例を多数収録。それぞれの分野の第一人者が、1ページにまとめ、測定技法のどの部分を応用し、限界をどのように回避して、克服したかといった優れたノウハウを結集。第2版では特に、この実例部分が充実。初版と較べ約40項目を追加するとともに、その他の事例についても、現代的な熱量測定・熱分析の視点から、できる限り最新の情報に改訂。熱量測定・熱分析の初心者には基礎から実験まで具体的なイメージを持てる入門書として役立つ。現場で日々研究開発や分析実務に携わる人にも有用な一冊。

目次

1 熱量測定と熱分析で何がわかるか
 1.1 熱量測定 
  1.1.1 熱量測定とは
  1.1.2 熱力学諸量の関係
  1.1.3 結合エネルギーと標準生成エンタルピー
  1.1.4 多成分系に特有の熱力学量
  1.1.5 表面・界面に特有の熱力学量
  1.1.6 化学反応を支配する熱力学量
  1.1.7 非平衡系の問題
  1.1.8 生物と熱力学
  1.1.9 生体分子の相転移と状態変化
 1.2 熱分析
  1.2.1 熱分析とは
  1.2.2 熱分析の特徴と分類―どのような情報が得られるか―
  1.2.3 熱分析の特徴と分類―必要な情報をどのように得るか―
  1.2.4 化学反応の熱分析
  1.2.5 機械的性質の熱分析
  1.2.6 高分子の緩和現象と熱分析
  1.2.7 固相反応速度論
  1.2.8 非低速昇降温熱分析
2 どのような測定法があるか
 2.1 温度測定 
  2.1.1 温度計の種類と測温誤差
  2.1.2 国際温度目盛
  2.1.3 温度測定の実際
 2.2 熱量測定の原理と方法 
  2.2.1 熱量計の分類と動作原理
  2.2.2 断熱法熱容量測定
  2.2.3 断熱法微小熱容量測定
  2.2.4 高温熱容量測定
  2.2.5 高圧下熱容量測定
  2.2.6 カルベ型熱量計
  2.2.7 温度ジャンプカロリメトリー
  2.2.8 蒸発熱・昇華熱測定
  2.2.9 反応熱・燃焼熱測定
  2.2.10 溶解熱・混合熱測定
  2.2.11 適定カロリメトリー
  2.2.12 浸漬熱・吸着熱測定
  2.2.13 フローカロリメトリー
  2.2.14 ACカロリメトリー
  2.2.15 熱容量スペクトロスコピー 
  2.2.16 緩和法熱容量測定
  2.2.17 微小カロリメトリー
 2.3 熱分析の原理と方法 
  2.3.1 熱重量測定
  2.3.2 速度制御熱分析
  2.3.3 複合熱重量測定(TG-MS,TG-GC―MS,TG―FTIR)
  2.3.4 示差熱分析(DTAと示差走査熱量測定(DSC)
  2.3.5 トリプルセルDSC
  2.3.6 温度変調DSC
  2.3.7 同時測定DSC
  2.3.8 熱膨張測定,熱機械分析(TMA)
  2.3.9 動的粘弾性測定(動的熱機械測定)
  2.3.10 誘電緩和測定
  2.3.11 熱ルミネセンス測定と光音響測定
  2.3.12 熱刺激電流測定
  2.3.13 熱伝導率測定法
  2.3.14 熱拡散率測定
  2.3.15 EGAとTPD
 2.4 その他の測定の原理と方法
  2.4.1 高温質量分析
  2.4.2 起電力測定
3 どのように解析するか
 3.1 熱量測定データの解析
  3.1.1 熱量測定による純度決定
  3.1.2 正常熱容量の取り扱い
  3.1.3 相転移の取り扱い
  3.1.4 部分モル量の求め方
  3.1.5 バイオカロリメトリーにおける統計熱力学的解析
  3.1.6 ファント・ホッフエンタルピーと熱測定エンタルピー
  3.1.7 モデルフィッティングを用いたデータ解析
  3.1.8 適定型カロリメトリーのデータ解析
 3.2 熱分析の測定技法と解析
  3.2.1 熱重量測定の測定技法
  3.2.2 複合熱重量測定の測定技法
  3.2.3 DTA,DSCの測定技法
  3.2.4 DTA,DSCの低温測定技法
  3.2.5 DTA,DSCの高温測定技法
  3.2.6 DTA,DSCの高圧測定技法
  3.2.7 光反応DSCの測定技法
  3.2.8 熱機械分析の測定技法
  3.2.9 動的粘弾性の測定技法
  3.2.10 DTA,DSCにおけるベースラインの意味と取り扱い
  3.2.11 DTA,DSCにおける熱異常の形状
  3.2.12 相転移の解析
  3.2.13 DSCによる熱容量の決め方
  3.2.14 DSCによる純度の評価
  3.2.15 固相反応速度の解析法
  3.2.16 等温結晶化の解析
  3.2.17 ガラス転移と緩和過程の解析
  3.2.18 DSCによる相状態図の作成
4 熱力学データベースをどのように活用するか
 4.1 熱力学データベース
  4.1.1 熱力学データベース利用法の飛躍的な高度化
  4.1.2 熱力学データベース MALT2
  4.1.3 他の熱力学データベース
  4.1.4 状態図計算
  4.1.5 熱物性データ集などその他の入手できる情報
  4.1.6 生物熱力学におけるデータベース
  4.1.7 生物熱力学におけるデータベース利用例 
 4.2 熱力学データベースの応用
  4.2.1 熱量測定・熱分析で現れる速度論的過程とその影響
  4.2.2 計算状態図と実測状態図の差
  4.2.3 化学平衡計算の使い方―温度・雰囲気の影響
  4.2.4 化学平衡計算の使い方―出発原料比の影響
  4.2.5 化学ポテンシャル図の使い方ー固体/固体界面反応における拡散の影響
  4.2.6 化学ポテンシャル図の使い方ー固体/気体平衡の温度・雰囲気の影響
5 どのように応用するか
 5.1 金属・合金
  5.1.1 アモルファス合金の熱分析
  5.1.2 水素貯蔵材料の熱分析
  5.1.3 金属精錬プロセスと発生気体分析
  5.1.4 熱分析と耐熱鋼, 耐熱合金
  5.1.5 電解コンデンサー用アルミニウム箔表面の迅速評価
  5.1.6 温度ジャンプ法による合金の熱力学量の導出
  5.1.7 固体電池起電力法による液体合金の熱力学的性質
  5.1.8 高温断熱走査型熱量計によるCr5Te8合金の秩序―無秩序相転移
  5.1.9 金属薄膜の酸化速度測定
  5.1.10 熱膨張測定によるアルミニウム金属内の平衡格子欠陥濃度の決定
  5.1.11 熱容量と溶解熱測定による金属間化合物の標準生成ギブズエネルギーの決定
  5.1.12 レーザー周期加熱カロリメトリー法による溶融シリコンの熱容量測定
  5.1.13 非定常熱線法による溶融金属および合金の熱伝導率測定
  5.1.14 レーザーフラッシュ法による溶融金属の熱拡散率測定
  5.1.15 双子示差型熱量計による溶融合金の混合エンタルピー測定
  5.1.16 カルベ型溶解熱量計によるIII-V族化合物の生成エンタルピーの決定
 5.2 無機化合物・セラミックス
  5.2.1 金属塩類のTGに与える昇温速度の影響
  5.2.2 無機塩水和物の脱水反応の顕微熱分析
  5.2.3 水和物結晶の加熱脱水機構と速度論
  5.2.4 外圧を変えたDTAによる結晶水の脱離挙動
  5.2.5 無機材料の速度制御熱重量測定(CRTG)
  5.2.6 セラミックス前駆体の熱分解
  5.2.7 ウッドセラミックスの熱分析
  5.2.8 無機潜熱蓄熱材料の熱分析
  5.2.9 強誘電体相転移のアコースティックエミッション(AE)と熱分析
  5.2.10 無機ガラスの熱分析
  5.2.11 都市ごみ焼却灰溶融スラグの結晶化過程
  5.2.12 イオン伝導性ガラスの熱測定
  5.2.13 ガラス固化体のアクチノイド商社と蓄積エネルギー
  5.2.14 金属酸化物の固相反応の追跡
  5.2.15 大型リチウム二次電池用リチウムマンガンスピネル酸化物正極の熱測定
  5.2.16 ペロブスカイト酸化物の相関係
  5.2.17 複合酸化物の定温TG
  5.2.18 熱天秤による無機材料の高温蒸気圧の測定
  5.2.19 質量分析計による核融合材料の蒸発特性の測定ー雰囲気制御型高温質量分析計の開発と応用
  5.2.20 酸化物超伝導体の熱分析
  5.2.21 複合酸化物の焼結挙動のTMA
  5.2.22 照射済核燃料の熱伝導率
  5.2.23 フラッシュ法によるペレット状試料の熱拡散率測定
  5.2.24 超高温熱容量測定
  5.2.25 ダイヤモンドとグラファイトの熱容量
  5.2.26 鉛含有複合ペロブスカイト酸化物リラクサーにおける熱容量異常
  5.2.27 ペロプスカイト型コバルトランタン酸化物におけるスピン状態転移の熱力学
  5.2.28 負の熱膨張物質の熱容量測定
  5.2.29 鉱物の融解熱の測定
  5.2.30 含水ケイ酸塩鉱物の熱分析
  5.2.31 メカノケミカル効果の熱的評価
  5.2.32 TG―DTAによるアスベストの熱分解挙動
  5.2.33 ゼオライトの水和熱の測定
  5.2.34 多孔材料の細孔径分布
  5.2.35 吸着熱測定による固体表面活性点の解析
  5.2.36 遷移金属硫化物の熱測定
  5.2.37 ITO薄膜の熱分析
  5.2.38 ダイヤモンド薄膜の熱伝導
  5.2.39 薄膜材料の熱物性評価
  5.2.40 単結晶シリコンとガラス状炭素の熱膨張 
 5.3 有機・高分子 
  5.3.1 相転移エントロピーのアルキル鎖長依存性
  5.3.2 ガラス転移
  5.3.3 周波数依存熱容量
  5.3.4 高分子のガラス転移
  5.3.5 磁場下での分子磁性体の熱容量
  5.3.6 分子磁性体
  5.3.7 有機伝導体
  5.3.8 フラーレンの燃焼熱
  5.3.9 分子性薄膜の熱容量測定
  5.3.10 液晶の相転移
  5.3.11 高分子モデル化合物としてのn-アルカン結晶の相転移
  5.3.12 ポリテトラフルオロエチレンの相転移
  5.3.13 マイクロカロリメーターによる高感度熱容量測定
  5.3.14 高分子結晶化の温度変調DSCによる測定
  5.3.15 剛直非晶の温度変調DSC 
  5.3.16 合成繊維の熱分析―1.融解転移による結晶サイズと分子鎖配向の検出
  5.3.17 合成繊維の熱分析―2.ガラス転移から求めた剛直非晶鎖量と繊維物性の関係
  5.3.18 サーモトロピック液晶の高圧DTA
  5.3.19 高分子ブレンド系の熱分析
  5.3.20 高速DSCによる包装フィルムの熱分析
  5.3.21 光学検出を組み合わせたDSC測定の応用
  5.3.22 半導体センサーによる高感度DSCの有機・高分子への応用
  5.3.23 DSC-XRD同時測定による液晶型ブロック共重合体の構造転移
  5.3.24 有機物の相転移と熱処理条件の影響―熱分析だけで詳細がわからないときの対応方法―
  5.3.25 DSC―FTIR同時測定による配向ポリプロピレンの融解
  5.3.26 ナノサーマルプローブ法によるフォトポリマー材料の熱分析
  5.3.27 チップカロリメーターによるナノグラム質量測定
  5.3.28 温度制御型プローブ顕微鏡を用いたブレンドゴムの表面物性評価
  5.3.29 ナノサーマルアナリシスによる高分子の局所熱分析と転移温度マッピング
  5.3.30 温度変調TMAによるポリウレタンのガラス転移
  5.3.31 リチウムイオン電池セパレーターの特性
  5.3.32 レーザー熱膨張計による高分子フィルムの厚さ方向の評価
  5.3.33 有機化合物のEGA―PIMS
  5.3.34 TG―DSC―FTIR同時測定による高分子の分解反応
  5.3.35 植物由来環境調和型材料
  5.3.36 燃料電池用固体高分子膜の温・湿度制御熱分析
  5.3.37 動的粘弾性測定装置による非線形領域を含む高調波分析 
  5.3.38 ポリエチレン超延伸繊維の低温熱伝導率
  5.3.39 温度波熱分析法による有機・高分子の熱拡散率
  5.3.40 赤外線カメラによる非接触マイクロスケール熱分析
  5.3.41 熱刺激電流および熱ルミネセンス法による高分子の分子運動性の評価
  5.3.42 自己反応性物質の危険性評価
  5.3.43 カーボンナノチューブ類への気体吸着
 5.4 生体分子 
  5.4.1 蛋白質の熱安定性のpH依存性
  5.4.2 小さな球状蛋白質の相転移
  5.4.3 超好熱菌由来蛋白質の熱安定性
  5.4.4 ジスルフィド結合と蛋白質の安定性
  5.4.5 蛋白質構造形成中間体の熱安定性
  5.5.6 多量体蛋白質の熱転移
  5.5.7 不可逆な熱変性をする蛋白質の安定性評価
  5.5.8 蛋白質の圧縮率測定
  5.5.9 脂質の相転移
  5.5.10 DNA―リガンド相互作用
  5.5.11 抗原・抗体相互作用
  5.5.12 酵素・阻害剤相互作用の評価
  5.5.13 酵素活性
  5.5.14 リン脂質膜のACカロリメトリー
 5.5 医薬品
  5.5.1 DSCによる医薬品の純度評価
  5.5.2 医薬品結晶の多形転移
  5.5.3 熱刺激電流法による医薬品結晶多形の評価
  5.5.4 医薬品水和物の転移速度と粉砕の影響 
  5.5.5 DSC―XRDによるトレハロースの脱水・再水和挙動と湿度の影響
  5.5.6 医薬品非晶質の緩和
  5.5.7 微小熱量計による医薬品の長期安定性予測
  5.5.8 熱分析による医薬品の溶解速度予測
  5.5.9 ヒト血液中の薬物相互作用
  5.5.10 微生物に対する薬剤の作用の分析
  5.5.11 医薬品をゲストとする包接化合物
  5.5.12 医薬品凍結乾燥製剤の熱分析
  5.5.13 凍結乾燥プロセスの熱分析による評価
  5.5.14 医薬品と製剤添加剤の配合適合性
  5.5.15 固体分散体中非晶質医薬品の物理的安定性 
 5.6 食品・生物材料
  5.6.1 糖脂質の相転移
  5.6.2 多糖ヒドロゲルの熱分析
  5.6.3 多糖へリックスの熱転移
  5.6.4 デンプンの熱分析
  5.6.5 チョコレート・脂質の相転移
  5.6.6 食品中の水
  5.6.7 皮膚の熱測定
  5.6.8 植物の熱分析
  5.6.9 毛髪の熱分析
  5.6.10 バイオマス
  5.6.11 微生物の熱測定
  5.6.11 カイコの液状絹の熱分析
  5.6.12 ネムリユスリカの蘇生とガラス転移
  5.6.13 油脂および加工食品の酸化性評価
  5.6.14高分子と水
6 付録
 6.1 熱電対規準熱起電力の補間式
 6.2 熱分析の校正用標準物質
 6.3 熱力学量と関連諸量の記号と表記法
 6.4 基本物理定数の値と単位の換算表
 6.5 JISープラスチック,ゴム
 6.6 JIS―セラミックス

出版社からのメッセージ

本書は改訂版『熱量測定・熱分析ハンドブック 第3版』(2020年08月刊)を刊行しています。

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