活性炭ハンドブック

活性炭ハンドブック

構造制御とキャラクタリゼーション
原書名 Actuvated Carbon
著者名 林 昌彦
川下 由加
発行元 丸善出版
発行年月日 2011年01月
判型 A5 210×148
ページ数 560ページ
ISBN 978-4-621-08313-0
Cコード 3050
NDCコード 574
ジャンル 化学・化学工学 >  物理化学 >  液晶・界面・コロイド
化学・化学工学 >  材料化学
化学・化学工学 >  工業化学

内容紹介

本書は、活性炭に関する情報はすべて網羅。活性炭とは。多孔質の大きさや形は。と極めて初歩的な詳細な説明、物理化学・表面化学に基づく原理、活性炭の実用的利用と、活性炭に関わるありとあらゆる事柄を文献とともに記載。 学術的にはロザリンド・フランクリンが由来の異なる炭素を摂氏3000度の高温まで熱することにより、黒鉛化した炭素と黒鉛化しない炭素がはっきりと異なる構造を形づくることを見出し、これが多孔性の研究の端緒であることが記され、炭素中の多孔性のモデルについてさまざまな提唱を紹介。また、吸着等温線、吸着質、吸着剤などの定義から、吸着現象の物理化学的、定量的説明がLangmuir式、BET式、DR式を用いてた詳細が、さらに水蒸気(物理的)および薬品賦活化法の詳細を記載している。応用として産業界で活性炭を扱う人にとってきわめて重要な知見が満載で、最新のSEMおよびTEM画像写真も掲載。

目次

1章 はじめに:本書の目的
 1.1 活性炭とは
  1.1.1 細孔について
 1.2 活性炭とその原料
 1.3 炭素の細孔とそのモデル化
 1.4 細孔のキャラクタリゼーション
 1.5 賦活プロセス(ガス賦活)
 1.6 賦活プロセス(薬品賦活)
 1.7 活性炭構造のSEM像とTEM像
 1.8 活性炭の用途
  1.8.1 はじめに
  1.8.2 水溶液からの吸着
 1.9 活性炭の製造と参考資料
2章 活性炭(原料)
 2.1 炭素材料
 2.2 炭素の原料
 2.3 炭素用語体系
 2.4 炭素元素
 2.5 産業的に利用される炭素
 2.6 固相での炭素の調製法
  2.6.1 はじめに
  2.6.2 固相炭化(熱処理温度による表面積の変化/熱処理温度によるラジカル濃度(ESR)の
        変化/石炭由来活性炭/石炭化度/石炭中のミクロ孔)
 2.7 液相での炭素の調製法:液晶
  2.7.1 はじめに
  2.7.2 ネマチック液晶
 2.8 気相での炭素の調製法
  2.8.1 はじめに
  2.8.2 カーボンブラック
  2.8.2 フラーレン,ナノチューブ,ネックレス
 2.9 炭素の構造
  2.9.1 結合と構造
 2.10 “結晶子”(黒鉛微結晶)の概念の非正当性
  2.10.1 はじめに
  2.10.2 石炭中の黒鉛微結晶
  2.10.3 X線回折線のブロードニングの原因
  2.10.4 黒鉛微結晶理論:結論
 2.11 ラマン分光法(RMS)による構造解析:評価
  2.11.1 RMSを使う前に
  2.11.2 RMSデータの間違った解釈
  2.11.3 ピッチを用いたもっとも正確な研究
  2.11.4 ラマンスペクトルの解釈
 2.12 反射顕微鏡と活性炭の構造
 2.13 炭素の構造とは? まとめ
 2.14 細孔と化学構造にかかわる応用
  2.14.1 多孔質炭素の用途
  2.14.2 リチウムイオン電池での応用
3章 炭素の細孔:モデル化
 3.1 はじめに
 3.2 モデルに必要な条件
 3.3 なぜモデル化するのか?
 3.4 さまざまなモデル
  3.4.1 ドリルの穴モデル
  3.4.2 枝分れモデル
  3.4.3 Noritモデル
  3.4.4 ヘキサクロロベンゼンから調製した炭素
  3.4.5 ポテトチップスモデル
  3.4.6 Kanekoらのモデル
  3.4.7 Ruikeらのモデル
  3.4.8 Dahnらのfalling cardモデル
  3.4.9 Yoshidaらのガラス状炭素モデル
  3.4.10 OberlinらおよびOberlinによる炭素粒子の多孔性微細構造モデル
  3.4.11 BiggsとAgarwalとBiggsらによるVPSモデル
  3.4.12 SegarraとGlandtによる多孔質炭素モデル
  3.4.13 Wangらによる強束縛モデル
  3.4.14 Acharyaらによるコンピューターモデル
  3.4.15 O’Malleyらのガラス状炭素モデル
  3.4.16 Pikunicらのガラス状炭素モデル
  3.4.17 Petersenらの多孔質炭素のモデル
  3.4.18 GacaldaらとJobらによる炭素エアロゲル
  3.4.19 走査型電子顕微鏡(SEM)によるモンモリロナイトの構造
  3.4.20 走査型電子顕微鏡写真,Rodriguez-Reinoso
  3.4.21 高分解能透過型電子顕微鏡像,干渉縞像,Marshら
  3.4.22 ByrneとMarshによって提案された活性炭中の細孔モデル
  3.4.23 BojanとSteeleによる細孔充填モデル
  3.4.24 DaviesとSeatonによる細孔の形状分布
  3.4.25 Pfeiferらによるナノ細孔(ミクロ孔)のフラクタルネットワーク充填モデル/     
  3.4.26 Gun’koとMikhalovskyおよびYangらによるスリット型細孔の評価/
  3.4.27 Pyらによる星形細孔
  3.4.28 正確なミクロ孔のモデル化は可能か?
 3.5 モデル評価とその判定基準
4章 活性炭のキャラクタリゼーション
 4,1 基礎概念
  4.1.1 吸着等温線
  4.2.2 開孔と閉孔
  4.2.3 表面積:その真偽
  4.2.4 速度論と動力学
 4.2 細孔のキャラクタリゼーション:ガス吸着
  4.2.1 吸着等温線の測定
  4.2.2 吸着等温線の定性的解釈
  4.2.3 吸着等温線の定量的解釈
  4.2.4 t‐プロット法とαs‐プロット法を用いた吸着等温線の定量的解釈
  4.2.5 窒素と二酸化炭素の吸着の比較(概論/同一試料間での窒素と二酸化炭素の吸着等温線の
        比較/窒素と二酸化炭素の吸着等温線を用いた賦活プロセスの研究/完全な二酸化炭素の
        吸着等温線:標準等温線/細孔のキャラクタリゼーション:低相対圧(p/p0<0.0001)/
        活性炭のミクロ孔を決定する方法)
 4.3 細孔のキャラクタリゼーション:表面官能基
  4.3.1 はじめに
  4.3.2 表面酸素官能基の形成とその性質
  4.3.3 表面官能基の分析
  4.3.4 表面の酸性と塩基性
  4.3.4 表面酸素官能基:吸着等温線への影響
 4.4 細孔のキャラクタリゼーション:SAXSとSANS
 4.5 細孔のキャラクタリゼーション:破過曲線
  4.5.1 はじめに
  4.5.2 破過曲線と破過時間
  4.5.3 破過曲線と破過時間の応用
 4.6 細孔のキャラクタリゼーション:吸着エンタルピー
  4.6.1 物理吸着と化学吸着
  4.6.2 ロンドン分散力
  4.6.3 吸着エンタルピー(平衡吸着熱)
  4.6.4 フローマイクロカロリメトリー
 4.7 細孔のキャラクタリゼーション:浸漬熱測定
  4.7.1 はじめに
  4.7.2 浸漬熱測定:活性炭
  4.7.3 浸漬熱測定:賦活プロセス
  4.7.4 浸漬熱測定:表面化学の影響
 4.8 メソ孔
  4.8.1 メソ孔の定義
  4.8.2 メソ孔の起源
  4.8.3 メソ孔の定量(ケルビン方程式)
 4.9 メソ孔のキャラクタリゼーション:水銀圧入法
  4.9.1 原理
  4.9.2 水銀圧入法:実験結果
  4.9.3 水銀圧入法:限界
 4.10 まとめ
5章 賦活プロセス(ガス賦活)
 5.1 ガス賦活法:はじめに
  5.1.1 炭素表面
  5.1.2 ガス化反応の熱化学
 5.2 炭素と分子状酸素の反応機構
  5.2.1 中間体の段階
  5.2.2 表面酸素種の可動性
  5.2.3 同位体酸素(16O2と18O2)の利用
  5.2.4 生成ガス中のCO/CO2分圧の変化
  5.2.5 ナノ空間でのガス化反応
  5.2.6 エネルギー図
  5.2.7 反応速度の温度依存性
 5.3 ガス化反応速度
  5.3.1 ガス化反応速度の拡散制御
  5.3.2 ガス化反応における表面の反応性
  5.3.3 炭素と分子状酸素の反応速度式
  5.3.4 炭素と二酸化炭素,炭素と水蒸気の反応速度式
 5.4 炭素の構造とガス化
  5.4.1 炭素の構造とガス化の活性化エネルギー
  5.4.2 ガス化反応の触媒作用
  5.4.3 ガス化反応に影響する因子
  5.4.4 高純度炭素のガス化反応中の形状変化
  5.4.5 低純度炭素のガス化中の形状変化
 5.5 二酸化炭素と水蒸気による賦活:C(O)とC(H)による阻害
  5.5.1 はじめに 
  5.5.2 水素の直接添加:Walkerの研究
  5.5.3 二酸化炭素と水蒸気による賦活反応機構の最近の研究
  5.5.4 水素と水(液体)との反応
 5.6 熱賦活中の表面のようす 
  5.6.1 はじめに
  5.6.2 遷移状態
  5.6.3 表面酸素種が一酸化炭素として脱離する機構
 5.7 反応性の考え方
 5.8 表面炭素の移動
 5.9 ガス賦活プロセス
  5.9.1 はじめに
  5.9.2 1984年:空気と二酸化炭素の利用
  5.9.3 1987年:窒素と二酸化炭素吸着等温線の相補性
  5.9.4 1989年:方法
  5.9.5 1989年:おもな総説―吸着方法
  5.9.6 1991年:おもな総説―ガス賦活
  5.9.7 1995年:異なる原料の利用
  5.9.8 1997年:異なる実験条件での賦活
  5.9.9 2000年:分子ふるい炭素/
  5.9.10 2000年:炭素繊維の賦活
  5.9.11 2001年:加圧下での炭化
  5.9.12 2001年:浸漬熱測定の総説
  5.9.13 2001年:多孔質材料のハンドブック
  5.9.14 2001年:炭素海泡石ペレット
 5.10 ガス賦活プロセス:効果のまとめ
  5.10.1 一般的な考え方
  5.10.2 炭酸ガス賦活と水蒸気賦活の比較
  5.10.3 一段階賦活と二段階賦活
  5.10.4 超臨界水での賦活
6章 賦活プロセス(薬品賦活)
 6.1 薬品賦活
  6.1.1 はじめに
  6.1.2 含浸法とその効果(塩化亜鉛賦活/リン酸賦活/水酸化カリウム賦活/賦活剤の作用機構
        の比較)
  6.1.3 薬品賦活によるモノリス炭素の調製
  6.1.4 吸着されたメタンの密度
  6.1.5 まとめ
 6.2 リン酸賦活の化学
  6.2.1 方法
  6.2.2 細孔の発達
  6.2.3 分析
  6.2.4 形状と大きさの変化
  6.2.5 リン酸賦活の化学(低温<150℃での反応/中程度の温度>150℃,<450℃での反応/高
        温>450℃での反応)
  6.2.6 まとめ
 6.3 アルカリ金属(KとNa)塩による薬品賦活
  6.3.1 はじめに
  6.3.2 層間化合物
  6.3.3 アルカリ金属塩賦活の化学
  6.3.4 アルカリ金属塩賦活のまとめ
 6.4 6種の賦活剤による炭素布の賦活
 6.5 その他の文献情報
7章 活性炭構造のSEM像とTEM像
 7.1 はじめに
 7.2 顕微鏡を利用した観察法
 7.3 活性炭の顕微鏡写真
  7.3.1 SEM像
  7.3.2 TEM像
 7.4 まとめ
8章 活性炭の用途
 8.1 液相吸着
  8.1.1 はじめに
  8.1.2 水溶液からのヨウ素と酢酸の吸着
  8.1.3 水溶液からの無機物の吸着(水銀の吸着/クロム類の吸着/カドミニウム類の吸着/金,
        銀類の吸着/亜鉛類の吸着/マンガン溶液からのZn(II),Cu(II),Fe(III)の吸着)
  8.1.4 水溶液からの有機物の吸着(はじめに/希薄溶液からの吸着/吸着プロセスを制御する因
        子/吸着剤の特性/吸着質の特性/溶液の化学:pHとイオン強度の重要性
        /Moreno‐Castillaの総説の概要/Dabrowskiらの総説の概要:吸着機構/Dabrowskiらの
        総説の概要:不可逆吸着)
  8.1.5 その他の研究:研究例
 8.2 気相での吸着の用途
  8.2.1 はじめに
  8.2.2 気体の精製
  8.2.3 混合ガスの分離:分子ふるい炭素
  8.2.4 メタン貯蔵
  8.2.5 溶剤回収
 8.3 液相での吸着の用途
  8.3.1 はじめに
  8.3.2 水処理
  8.3.3 飲食料品
  8.3.4 化学品と医薬品
  8.3.5 染料
  8.3.6 その他の用途
 8.4 触媒工程における多孔質炭素
  8.4.1 はじめに
  8.4.2 活性炭担持触媒
  8.4.3 活性炭の表面化学の影響
  8.4.4 炭素の不活性度の影響
  8.4.5 炭素表面の触媒作用
  8.4.6 補足的研究
  8.4.7 触媒反応とエアロゲル炭素
  8.4.8 触媒工程における多孔質炭素のまとめ
 8.5 添着活性炭
 8.6 活性炭:世界的な広がり
 8.7 活性炭の将来
9章 活性炭の製造と参考資料
 9.1 製造
  9.1.1 はじめに
  9.1.2 製造方法
  9.1.3 出発原料
  9.1.4 炉
  9.1.5 品質管理:試験
  9.1.6 洗浄
  9.1.7 再生
  9.1.8 工業生産
  9.1.9 消費
  9.1.10 価格
  9.1.11 まとめ
 9.2 参考
  9.2.1 はじめに
  9.2.2 学術雑誌“Carbon”のキーワード
  9.2.3 IUPACの定義
 9.3 表面化学:人物紹介
  9.3.1 Irving Langmuir
  9.3.2 Brunauer,Emmett,Teller
  9.3.3 Stephen Brunauer
  9.3.4 Paul Emmet
  9.3.5 Edward Teller
  9.3.6 Mikhail M. Dubinin

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