内容紹介
「ヒューマンエラーとは何なのか」「どうして起きるのか」「どう防ぐか」を体系だって整理し、事例にもとづきながら検証する手引書。 ヒューマンエラーが原因の事故はさまざまだが、「家でする失敗は、職場でもする」「職場でする失敗は、家でもする」といった人間のふるまい（行動）を理解しなければそこに解決の糸口はない。本書では、１〜２章でこのヒューマンエラーを体系的に分類しその本質に迫り、３章以降は「原因」からみたヒューマンエラーごとにその背後要因や対策をわかりやすく解説。 日々、ヒューマンエラーと隣あわせの人、ヒューマンエラーをなくしていくためにその対策に頭を悩ませている人たちの解決への道標となる一冊。本書は2003年に刊行した初版の待望の改訂版。古い事例や図の差し換え・追加、コラムの追加・見直しを行い、初版よりもさらに「現場」の人向けを意識した内容をめざし、この分野に携わる人たちに参考となりうる。
目次
１ 事故とヒューマンエラー
１．１ 事故
１．２ 事故の原因
１．３ なくならない事故
１．４ ヒューマンエラーと事故
１．５ 安全マネジメント
１．６ 動物園のリスク対策
１．７ 事故責任からみたヒューマンエラー対策
コラム ハインリッヒの法則
フール・プルーフ
２ ヒューマンエラーとその対策
２．１ ヒューマンエラーの原因はさまざま
２．２ 不適切行為とヒューマンファクターという考え方
２．３ ヒューマンエラーの種類と原因
コラム 犯罪とヒューマンエラーの間
ヒューマンエラーの分類
業務上過失罪ということ
３ できない相談
３．１ 人間の能力の限界
３．２ 視力と聴力
３．３ 記憶力
３．４ 動作能力
３．５ 動作時間
３．６ 「〜にくい」ものをなくすのが先
コラム チョウがカラフルなのはなぜ？
錯視とヒューマンエラー
惰性ＫＹ
健康づくりとヒューマンエラー
４ ｢錯誤｣というヒューマンエラー
４．１ ベテランはなぜ錯誤が多いか
４．２ 「取り違い」のヒューマンエラー
４．３ 「思い込み」のヒューマンエラー
４．４ ミステイク
コラム 慌てると増える「取り違い」
「思い込み」を体験する
標準化
５ 失念
５．１ 失念
５．２ 作業の主要部分の直前の失念
５．３ 作業の主要部分の直後の失念
５．４ 慎重に考えるべき「自動処理」
５．５ 未来記憶の失念
コラム 中華航空機事故
６ 知識不足・技量不足のヒューマンエラー
６．１ 知識不足
６．２ 技量不足
６．３ 教育訓練計画を立てる
コラム 安易な計画は命取り？
マニュアル作成者の心理
７ 違反
７．１ 初心者の起こす違反
７．２ ベテランの起こす違反
７．３ 違反を防ぐ
７．４ 規則違反と管理者の責務
コラム 職場のマナーと作業規則
小さな違反を見過ごすな
自分自身に説明させる
違反と安全文化
８ 背後要因
８．１ 作業遂行能力に影響を与える背後要因
８．２ 作業遂行意欲に影響を与える背後要因
８．３ 背後要因を考える
コラム 行動形成因子（ＰＳＦ）
月曜と金曜は事故が多発する？
９ チームエラーとＣＲＭ
９．１ あるチームエラー
９．２ 「いわれたことだけをしていればよい」という心理
９．３ ＣＲＭに学ぶ
９．４ 読みの甘さとヒューマンエラー
コラム 会話の法則
自分は他人とどう接しているか
10 トップの姿勢と安全文化
10．１ トップの意識
10．２ 規制緩和と自己責任
10．３ 安全文化
コラム よい会社風土をつくっていく
日本の昔話
11 ヒューマンエラーをなくしていくために
11．１ 事象の連鎖
11．２ ヒューマンエラーの分析手法
11．３ 何のための分析か？
11．４ インシデントレポート
コラム 民事訴訟法の証拠の考え方
12 人が守る安全
12．１ 不幸の重なり
12．２ ヒューマンエラーを抑圧していく
12．３ 一人ひとりの能力を高める：Performance Enhancement
12．４ ＴＥＭ
12．５ 「しかたがない」という前に
コラム 安全・安心・信頼
ヒューマンエラーへのアプローチ
出版社からのメッセージ
本書は改訂版『ヒューマンエラー 第3版』（2019年10月刊）を刊行しています。
