内容紹介
ノーベル物理学者である湯川秀樹と直接親交のあった最後の世代である著者が、当時の湯川の言葉や研究室の様子、教えられたこと、周りで起こったおもしろい出来事や思い出を書きとめるとともに、そこから展開した著者自身の考えをまとめた随想。湯川の伝記や業績の記録ではなく、人間としての湯川の暖かさや、純粋さ、悩みなどを、一回り下の弟子の目から見て書き著したもの。研究の醍醐味や難しさなど科学者の生の姿が描かれた秀逸な読み物。
目次
はじめに
未来を過去のごとくに
目標を掲げて――夢は実現させるもの
中間子論――理論物理学における大発見
京都大学への赴任
一芸は道に通ず
下鴨のお宅
湯川先生の授業
ゆとりが生み出す大発見
基研――基礎物理学研究所
午後の茶話会
プログレス――理論物理学の論文誌
君子務本――湯川先生の研究スタイル
素粒子物理学の興隆
非局所場理論と素領域理論
国際共同研究の想い出
老子と荘子
渾沌会――湯川先生を囲むセミナー
要素還元主義的自然観
多様性の観点
改革と素粒子物理学者
組織と個人
平和への願い
パグウォッシュ会議
平和は教育から
ラッセルの逆理(パラドクス)
湯川先生との別れ
広島大学へ
おわりに