内容紹介
都市の生活は周囲の自然に対しても社会的な環境に対しても無関心でいられること、それに煩わされずにいられることを特徴とし、それが「都市の空気の自由さ」の源泉でもあった。都市の住居にもこのような傾向は反映され、伝統的に開放的な日本の住居も次第に閉鎖化してきたが、これを可能にしたのは建築の技術、とりわけ暖冷房や照明のような人工環境技術の進歩だった。しかし、環境への無関心は一方でコミュニティを崩壊させ、他方で地球環境問題を招くほど自然を衰退させた。 環境との共生が叫ばれる今日、建築におけるエコロジカルな発送の原点に帰り、太陽や風といったポテンシャルを活かしながら在来エネルギーへの依存を減らし、自然との交感が可能な住宅、自然を楽しむ住居を考える。
目次
はじめに 住まいの自然と環境計画
1 太陽を取り入れる
住まいと太陽
太陽の味覚
光の躍動
方位・方角
2 熱を蓄える
木の文化・石の文化
建築の熱容量と蓄熱
水を利用した蓄熱
大地の利用
3 住まいの断熱と気密
断熱と保熱
室温と快適さ
高気密化の次にくるもの
結露
4 ソーラーハウス
つくばの家1・2・3
温室の楽しみ
サンスペースを持つ集合住宅
ダブルエンベロープ(二層皮膜)ハウス
高知・本山町の家
つくばの家のその後――二〇年を経たパッシブハウス
5 風のデザイン
風を和らげる・風を逃がす
大地に埋もれた住まい――アメリカ・カンサス大平原
風を通す
聴竹居――昭和初期の実験住宅
再び窓を開け始めたオフィス
6 日射のコントロール
庇と縁
窓の遮熱
屋根の遮熱
熱帯のパッシブデザイン
7 四季の変化
春の暖かさ
夏の暑さ
雨
冬の温もり
水を楽しむ
8 都市の自然
都市の緑――アドリア海の真珠・ドロブニク
アナザチインディアンの集落
環境と共生するまちづくり
自然と交感する都市
都市の自然感
正の循環に向けて
あとがき 自然との共生――自然を一〇〇倍楽しむ方法
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