海洋環境水理学

海洋環境水理学

著者名 和田 明
発行元 丸善出版
発行年月日 2007年10月
判型 A5 210×148
ページ数 346ページ
ISBN 978-4-621-07915-7
Cコード 3051
NDCコード 452
ジャンル 土木・建築 >  土木 >  河川工学

内容紹介

海洋や湾内・沿岸において物質がどのように拡散し沈降していくのかを知ることは、漁業をはじめ海域の生態系への影響を評価する上で欠かせない。本書はこれらの問題に対する環境アセスメントのベースになっている数理モデルを詳細に解説するとともに、現地での観測手法や水理実験法についても東京湾や伊勢湾の水質改善、発電所からの温排水といった小スケール問題から太平洋循環流等の大スケール問題までを取り上げ具体的に紹介。海洋に関する環境影響評価に取り組む実務家・研究者にとって必携の一冊。

目次

第I部 物質拡散問題
 1章 沿岸域における混合拡散
  1.1 海洋変動の予測
  1.2 沿岸域での拡散過程
  1.3 拡散場の一表現法
 2章 乱流拡散とシア拡散
  2.1 せん断流による拡散過程
  2.2 恒流の成因
 3章 湾内水循環の機構
  3.1 湾内水循環の要因
  3.2 湾内水循環の数学モデル
 4章 沿岸海域の拡散希釈能力
  4.1 拡散実験
  4.2 沿岸海洋での水平乱流拡散
  4.3 瞬間・連続放出による乱流拡散
  4.4 風浪および波による混合
  4.5 密度成層海域における拡散 
 5章 海中放流管による希釈効果
  5.1 排水の希釈混合過程
  5.2 重力噴流(ブルーム)の希釈特性
  5.3 水中放流方式による温排水温低減効果
 6章 海域における流動モデル
  6.1 流動解析モデルの概要
  6.2 海域における流動の駆動力
  6.3 力学モデルの概要
  6.4 力学モデルの適用の考え方と手順
  6.5 モデルの適用例(1)―東京湾の流れの解析
  6.6 モデルの適用例(2)―伊勢湾奥部の下層水湧昇現象
 7章 湾内における潮汐密度流モデル
  7.1 潮汐密度流モデル
  7.2 基礎方程式
  7.3 境界条件と他諸条件
  7.4 深さ方向の平均化した流れの式系
  7.5 モデルの適用例―東京湾における貧酸素水塊の湧昇現象
 8章 ボックスモデルによる流動解析
  8.1 ボックスモデルとは
  8.2 基礎方程式
  8.3 3つの保存方程式の解法
  8.4 数学的形式化
  8.5 モデルの適用例―東京湾の水質改善
 9章 内湾の水質浄化
  9.1 生態系モデル化の試み
  9.2 流れを再現するモデル
  9.3 生態系モデルの基本概念
  9.4 既存生態系モデル
  9.5 水質モデル
  9.6 生態系モデルの有効性と困難性
  9.7 モデルの適用例―三河湾における水質改善
 10章 放射性核種の海洋拡散
  10.1 影響評価の考え方
  10.2 核種拡散の基本的な考え方
  10.3 スキャベンジングを考慮した核種拡散モデル
  10.4 セディメントモデル(Sediment model)
  10.5 放射性物質の拡散計算モデル
  10.6 セディメントモデルと海底層モデル
  10.7 懸濁物質に関するパラメータ
  10.8 セディメントモデルに用いるパラメータ
  10.9 感度解析(IAEA1998)
  10.10 モデルの適用例(1)―北極海における放射性拡散
  10.11 モデルの適用例(2)スキャベンジングの例―ダム排出土砂の河口域での挙動
 11章 太平洋循環流計算
  11.1 概要
  11.2 使用データ
  11.3 基礎式,境界条件,パラメータ,計算条件
  11.4 計算手法
  11.5 計算結果
  11.6 モデルの適用例―CO2の海洋隔離の可能性
 12章 沿岸域エコテクノロジー
  12.1 持続可能な開発とは
  12.2 河川のエコテクノロジー
  12.3 海岸・内湾域のエコテクノロジー
  12.4 おわりに
第II部 温排水の環境影響評価法
 1章 温排水問題の背景
  1.1 温排水とは
  1.2 温排水の規制に関する行政の現状
  1.3 汽力発電所の排熱量と冷却水使用水量
  1.4 排熱冷却方法の分類
  1.5 冷却塔方式の概要
  1.6 問題点の背景
 2章 復水器上昇温度(ΔT)の問題
  2.1 概要
  2.2 取水温に対する最適復水器上昇温度
 3章 冷却水取水の設計
  3.1 概要
  3.2 風の吹送による水温鉛直分布の安定性
  3.3 風による水温躍層面の低下量
  3.4 風の効果を考慮に入れた冷却水取水構造物の設計例
 4章 海象調査と観測データの評価法
  4.1 概要
  4.2 流動調査
  4.3 水温調査
  4.4 海域の流れと乱れの区別
  4.5 海洋環境変動予測のための手段
  4.6 本邦沿岸での流れと拡散の特性
  4.7 流動の短周期変動と拡散係数の推定
 5章 外海域での水理現象と観測データ評価
  5.1 外海域での流動と分散特性
  5.2 沿岸流の長周期変動
  5.3 福島県浜通り海域の長周期変動特性
  5.4 砕波帯内の分散特性
  5.5 水温変動の特性
 6章 温排水の拡散・冷却過程
  6.1 温排水拡散現象の実態
  6.2 温排水の拡散過程
  6.3 放水口近傍での下層水の連行現象
 7章 遠方領域での拡散予測
  7.1 概要
  7.2 基礎方程式
  7.3 温排水の拡散予測
  7.4 拡散予測解析例
  7.5 シミュレーション解析手法の適用上の問題点
 8章 放水口近傍の拡散予測
  8.1 概要
  8.2 数理モデルの内容
  8.3 3次元モデルの内容
 9章 海面と大気間の熱収支過程
  9.1 概要
  9.2 大気―海面における熱交換係数
  9.3 近藤の輸送係数を用いた熱交換係数の算定式
 10章 水中放水
  10.1 水中放水に対する温排水拡散モデル
  10.2 水中放流拡散予測モデル
  10.3 3次元モデルによる解析
  10.4 数値モデルによる拡散範囲の妥当性

定価:5,170円
(本体4,700円+税10%)
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