科学者ってなんだ?

科学者ってなんだ?

著者名 梶 雅範
元村 有希子
村松 秀
白楽 ロックビル
発行元 丸善出版
発行年月日 2007年10月
判型 A5 210×148
ページ数 206ページ
ISBN 978-4-621-07890-7
Cコード 1040
NDCコード 407
ジャンル 科学一般

内容紹介

科学技術立国・日本において、「サイエンティスト(科学者・研究者)として活躍(成功)するために心得ておくべきこととは何か?」を主題に据え、目次にあるような様々な視点から、「成功する科学者像」を浮き彫りにして行く。執筆にあたっては、実際に起きた事例を交えながら具体的に解説していくとともに、今、理工学の分野で話題となっている、「科学者の社会的責任」「科学技術者倫理」についても紙面を割いて言及。東工大での外部講師もまねいた大人気のリレー講義の活字化。元村 有希子(毎日新聞科学環境部、第1回科学ジャーナリスト大賞受賞[05年])、村松 秀(NHK科学・環境番組部、第2回科学ジャーナリスト大賞受賞[06年])という科学ジャーナリスト大賞を受賞した二人も執筆者に加わる。

目次

第1章 誰が科学者か――はじめにかえて
第2章 科学者という仕事の誕生と今
 1 職業的科学者の成立
  1.1 ヨーロッパでの近代科学の成立
  1.2 サイエンティストという言葉がつくられた時代
  1.3 「科学技術」という言葉の来歴
 2 アカデミックな研究――ワトソンの『二重らせん』に見る研究競争 
  2.1 ワトソンの『二重らせん』
  2.2 DNAの発見
  2.3 遺伝としてのDNA
  2.4 DNA構造発見への道の4人の登場人物
 3 ノーベル賞と科学者
  3.1 ノーベル賞とは
  3.2 ノーベル賞の選考過程
  3.3 ノーベル賞の成功と今後
 4 産業界での研究
  4.1 科学と技術の関係の変容
  4.2 企業内研究所の誕生
  4.3 デュポン社の「基礎研究プログラム」
  4.4 アメリカの新世代の科学者カローザス
  4.5 カローザスのデュポン社での研究――ナイロン発明
  4.6 「産業科学」という新しい研究の場――科学研究の変容 
第3章 科学とは何か
 1 メタ科学つぃての科学哲学
 2 帰納と演繹
 3 仮説演繹法
 4 帰納主義の欠陥
 5 ポパーの反証主義
 6 科学と疑似科学の線引き問題
 7 ラカトシュの研究プログラム
 8 クーンのパラダイム論
第4章 学術論文をめぐって
 1 学術論文とは
  1.1 学術論文が発表されるまで
  1.2 査読制度
  1.3 学術論文の言語
  1.4 Impact Factor
 2 研究費の申請と審査
  2.1 米国研究費申請・審査システム――研究者にとっての競争的研究資金の必要性
  2.2 米国NIHの競争的研究資金の申請と獲得
  2.3 米国では研究計画書の作成は真剣勝負――“詳細かつ簡潔”が命
  2.4 米NIHの審査システム
  2.5 NIHの審査サイクルおよび再申請と継続申請
  2.6 日本の研究費申請・審査システム
  2.7 日本の研究者にとっての競争的研究資金の必要性
  2.8 日本の競争的研究資金
  2.9 日本の研究計画書の作成と申請
  2.10 日本の審査システム――不採択でも理由は不明,切磋琢磨できない審査方式
  2.11 日本の競争的研究資金の真性と審査に何が必要か――研究費体系のシンプル化と面接廃止が不可欠
  2.12 NIHのシステムも万能ではない――申請・審査に関わる研究者一人ひとりの切磋琢磨の精神が大前提
 3 研究者になるための文章技法
  3.1 「伝達の文章」の書き方――木下是雄の『レポートの組み立て方』から 
第5章 研究者への道? 大学院とその後
 1 学部のすごし方と大学院入試
  1.1 学部のすごし方
  1.2 研究室の選び方
  1.3 大学院の選び方
  1.4 大学院修士入試・博士入試は楽勝
 2 大学院時代のサバイバル法
  2.1 研究室の過ごし方
  2.2 研究技能・パソコン・英語
  2.3 研究成果と奨学会
  2.4 院生の悩み相談
  2.5 大学院留学
 3 何としても博士号を取得する
  3.1 博士号とは
  3.2 博士号の基準と審査
 4 ポスドクのサバイバル法
  4.1 ポスドクとは
  4.2 国内ポスドク
  4.3 海外ポスドク
 5 必死に研究職を見つける
  5.1 実験室の専門職
  5.2 実験室以外の専門職
 6 特殊コース・再チャレンジ
  6.1 飛び級
  6.2 社会人大学院生
第6章 研究者の現場
 1 アカデミックな場での研究者――研究が論文になるまで 
  1.1 研究の現場――理化学研究所 
  1.2 研究の背景と目的
  1.3 グループの初期の研究
  1.4 研究の次の目標
  1.5 論文投稿
  1.6 ライバル
  1.7 研究者にとって大切なこと
 2 企業内研究所の研究者
  2.1 大学の研究と企業の研究の違い
  2.2 研究開発がビジネスになるまで
  2.3 企業内研究者のライフサイクル
  2.5 企業にける研究開発マネジメント 
第7章 特許と研究―知的財産権の問題
 1 特許は研究とどのように関わっているか
  1.1 起業における研究と特許
 2 取得権の取得までの手続き
  2.1 特許侵害訴訟
  2.2 国際出願
 3 特許権の行使
 4.研究者にとっての注意点
 5 職務発明
 6 ノウハウと営業秘密
 7 知的財産にかかわる職業 
第8章 女性と科学
 1 科学史における女性
  1.1 欧米における女性科学者のはじまり
  1.2 日本における女性科学者のはじまり
 2 現代におけるジェンダーと科学
  2.1 サマーズ発言
  2.2 科学と性差
  2.3 ジェンダーバイアス
 3 女性研究者をめぐる現状
  3.1 日本の現状と各国比較
  3.2 女性研究者のキャリアを阻むもの
  3.3 女性研究者への多様な支援
第9章 科学ジャーナリズムの世界
 1 新聞における科学ジャーナリズム
  1.1 科学ニュースとは何か
  1.2 新聞の科学ジャーナリズムの歴史
  1.3 新聞社の科学セクションと記者
  1.4 取材から記事化まで
  1.5 科学記者のスタンス
  1.6 科学事件報道
  1.7 科学報道のジレンマ
 2 テレビにおける科学ジャーナリズム
  2.1 多様に展開する科学番組
  2.2 映像の力
  2.3 テレビ界と科学界との差異
  2.4 市民に科学が「伝わる」ために
  2.5 テレビ科学ジャーナリズムの課題と今後
第10章 研究者倫理
 1 論文捏造
  1.1 頻発する「論文捏造」
  1.2 史上空前の論文捏造――ベル研事件
  1.3 チェック不能の連鎖
  1.4 韓国・ヒトクローン胚由来ES細胞の捏造事件
  1.5 対応を迫られる科学コミュニティ
  1.6 科学の「変容」と21世紀科学のありよう
 2 企業内の研究者の倫理
  2.1 チッソの工場技術者たちと水俣病
  2.2 『水俣病の科学』――水俣病の原因の科学的解明

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