有機実験のナビゲーター
研究室で役立つ

有機実験のナビゲーター

実験ノートのとり方からクロマトグラフィーまで
著者名 上村 明男
発行元 丸善出版
発行年月日 2009年03月
判型 A5 210×148
ページ数 400ページ
ISBN 978-4-621-08091-7
Cコード 3043
ジャンル 化学・化学工学

内容紹介

学生が研究者としてひとり立ちできるようになるためのサバイバルガイド。初めて研究室に配属された学生はもちろん、いまさら聞くに聞けない先輩学生がこっそり活用できる学生のバイブル本。実験を最後まで安全に行うための守るべきルール、例えば、実験室のガイドラインから文献の読み方といった「いまさら、そんなこと当たり前じゃん」ということから、サンプルの作り方、どうしてこのひと手間が必要なのか、どうして実験が失敗したのか、といった実際の実験に直結する基本原理から実験手技まで、研究生活に必須なノウハウをコンパクトに分かりやすく指南する。ビビッドで分かりやすい読者の視点で解説されており、いつも指導教官がそばにいてくれるような安心感があるのも特徴。

目次

第1章 一にも二にもすべてに安全
もし、事故が起こったら/廃棄物の処理法/混合物の廃棄物

第2章 実験ノート
操作法に関する実験/ノートするときの注意事項/合成実験/ノートの書き方の注意/君自身のリトマス紙
迷える罪深き実験ノート

第3章 ハンドブックを読みこなす
CRCハンドブック/1-ブロモブタンの項目/安息香酸の項目/LANGE'S/1-ブロモブタンの項目/安息香酸の//MERCK INDEX(通称「メルク」)/1-ブロモブタンの項/安息香酸の項/THE ALDRICH CATALOG/1-ブロモブタンの項/安息香酸の項/MSDS:MATERIAL SAFTY DATA SHEET/「無色」と「透明」/インターネットの情報

第4章 すり合わせガラス器具
数字がひとつしかないすり合わせ/もうひとつの「実験室の愛の物語」/実験室での好プレー・珍プレー:笑ってすまない・・こともあるから注意/蒸留塔と冷却器編/温度計アダプター/グリースを使う/つけるべきか、つけざるべきか・・・それが問題だ/グリースを使う前準備-1/グリースを使う準備-2/試薬の保存とくっついたジョイント/コルク栓の仕方/コルクプレス/O-リング

第5章 ミクロ実験装置の共通すりあわせ
ミクロスケールについて/Oリング(おぉぉぉぉぉ!!リング?どこいった?)/Oリングの装着の仕方
スケールアップの場合の選択肢/さて気密性はいかに?/コニカルバイアル反応容器(ずん胴だけど中身は円錐(コニカル))/コニカルバイアルを試薬いれ(バイアル)として使う場合/しまった!量り忘れた
ちょっと知恵を使おうね/電気式分析天秤の使い方/バイアルの加熱/ミクロスケールの乾燥管/ガスの捕集管/ガスの発生実験/ガス生成物の単離と分析

第6章 その他の楽しいガラス器具
漏斗にビーカーそれにフラスコ/ステンレスのスパチュラ

第7章 ピペットのコツ
パスツールピペットを使う前準備/操作/改善/ピペットを切る/ピペットで液体を分離する場合/ピペットを使ったミクロ再結晶のろ過法

第8章 注射器と針、それにセプタム
ラバーセプタム

第9章 器具洗いと乾燥
乾かす必要のないガラス器具/乾かさなくちゃいけないガラス器具

第10章  乾燥剤
よく使う乾燥剤/乾燥剤の使い方/いわれたとおりにやってもうまくいかない・・・/乾燥剤:ミクロスケールの場合/乾燥:乾燥剤の能力と効率

第11章  生成物
固体サンプルの場合
液体サンプルの場合
サンプルを入れるバイアル
最後の仕上げ・・・試薬のもれ

第12章 融点測定
融点測定のサンプルの作り方
試料の入れ方
毛管の閉じ方
融点測定のヒント
Thiele管を使った融点測定
Thiele管の洗浄
サンプルのセット
温度計の固定方法
サンプルの加熱

第13章 再結晶
よい再結晶溶媒の見つけ方
再結晶の基本
自然ろ過の方法
ブフナー漏斗と吸引ビン
ちょっと注意
ヒルシュ漏斗と枝つき試験管
活性炭
アスピレータ
逆流止め
混合溶媒のススメ-よい側面
エタノール-水系
混合溶媒のススメ-わるい側面
塩析
ひだ付きろ紙の折り方
粗い折りかた(米国育ちの著者の流儀):16分割ひだ
細かい折りかた(日本生まれの翻訳者の流儀):32分割ひだ

第14章 ミクロスケール再結晶
結晶の取り出し
クレイグ管によるろ過
クレイグ管を使った遠心分離
結晶を取り出そう

第15章 抽出と洗浄
まずは、抽出の神のおきて
抽出:最初の一歩
ちょっとおせっかいなアドバイス
分液漏斗
栓について
ガラスのコック
テフロンのコック
抽出と洗浄操作の実際
回収への道
抽出・分離操作の一例(学生実験向け)
抽出操作の実際(やりかた)
抽出操作のヒント
悲劇の解決(上塗り?)

第16章 抽出と洗浄:ミクロスケール
混合
分離(下層をとる場合)
分離(上層をとる場合)
分離(両方の相を移動させる場合)

第17章 さて・・沸騰石

第18章 加熱の熱源
油浴(あるいは湯浴・砂浴)
マントルヒーター
スライダック等の電圧コントローラー

第19章 クランプ
蒸留装置のくみ立てかた
クリップで留めることのよしあし
クリップの逆襲

第20章 蒸留
蒸留に関する諸注意
加熱の熱源
蒸留アダプター
蒸留フラスコ
温度計のアダプター
クランプ
温度計
冷却器
減圧アダプター
蒸留の受け器
氷浴
常圧蒸留の実際
沸点に対する誤解
クラス2:減圧蒸留(真空蒸留ともいう)
圧力の測定
使いかたのヒント
真空漏れ
圧力と温度の関係
減圧蒸留のTips
クラス3:分別蒸留
その理屈
分別蒸留のTips
共沸混合物
クラス4:水蒸気蒸留
外部から水蒸気を導入する方法
内部で水蒸気を発生させる方法
水蒸気蒸留のTips
クーゲルロール:bulb-to-bulb distillation

第21章 ミクロスケール蒸留
大きなスケールとの違い
クラス1:常圧蒸留
クラス2:減圧蒸留
クラス3:分別蒸留
クラス4::水蒸気蒸留
Hickman装置によるミクロスケール蒸留
セットアップ
加熱方法
蒸留後の回収方法

第22章 ロータリーエバポレーター
突沸事件はいかにして発生するか
ポッチャン事件はどうして発生するか
その他の不幸な事故を防ぐために

第23章 加熱還流(reflux)と滴下
普通の還流実験
乾燥条件での還流実験
滴下と還流
漏斗いろいろ
セットの仕方

第24章 ミクロスケール実験での加熱還流(reflux)と滴下
滴下と還流:ミクロスケールの場合

第25章 昇華

第26章 ミクロスケール沸点測定
ミクロスケール沸点測定器
超ミクロスケール沸点測定

第27章 クロマトグラフィー
固定相
展開と分離
展開溶媒の極性

第28章 薄層クロマトグラフィー
TLCプレートの作り方(参考:昔はこうやっていた)
市販のTLCプレート
スポットのためのキャピラリーの作り方
スポットの方法
展開の仕方
検出
測定と同定
並べうち作戦
重ね打ち作戦
ほかのTLCの問題
分取TLC

第29章 カラムクロマトグラフィー
カラムの準備
湿式充填の場合
乾式充填の場合(主にフラッシュクロマトグラフィーの場合)
分離精製する試料ののせかた
検出とフラクションの集めかた
ミクロスケールのカラムの場合
フラッシュクロマトグラフィー
ミクロスケールのフラッシュクロマトグラフィー

第30章 機器分析

第31章 ガスクロマトグラフィー(ガスクロ)
移動相について
ガスクロのサンプル
サンプルの導入
カラムの中では
検出器(一部書き換え)
レコーダーの0点あわせ
GCのチャートの読みかた
インテグレーターの使用上の注意
パラメーターいろいろ
流速
カラム温度

第32章 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
HPLCの移動相
気泡トラップ
ポンプ
ダンパー
HPLCのサンプル
HPLCのサンプルの注入口
カラムの中で
検出器
レコーダーもしくはインテグレータ
パラメーターいろいろ
流速
温度
移動相の組成

第33章 赤外吸収スペクトル(IR)
IRのサンプルの作りかた
液体サンプルの場合
固体サンプルの場合
固体サンプルの準備
簡易プレスによるKBr錠剤の成型法(Fig.34.6)
IR分光光度計の仕組み
IRの校正
IRの解釈
FT-IR
光学的なシステム

第34章 核磁気共鳴スペクトル(NMR)
サンプルの作りかた
NMRチャートの読みかた
内部標準
化学シフト
磁気異方性効果
スピン―スピンカップリング
積分値
最後に

第35章 蒸留の理論
その1:単蒸留
Clausius-Clapeyronの式
その2:分別蒸留
Daltonの分圧の法則
Raoultの法則を適用すると・・・
Clausius-Clapeyronの式の適用
もう一度Daltonの出番
相図の読みかた。
蒸留の現実その1:組成の変化
蒸留の現実その2:非平衡プロセス
蒸留の現実その3:共沸
共沸点が極小値になる場合
共沸点が極大値になる場合
共沸混合物の使い道
変わったケース
その3:水蒸気蒸留

第36章 抽出の理論

出版社からのメッセージ

本書は改訂版『研究室で役立つ有機実験のナビゲーター 第2版』(2011年9月刊)を刊行しています。

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