内容紹介
本書は国際シンポジウム「核開発の国際史 ―核時代の幕開けにおける科学者の社会的責任―」および「二〇世紀における戦争・冷戦と科学・技術 ―国際共同研究の展望―」の記録である。前者のシンポには、米・旧ソ・独・日四カ国で核開発に関わった科学者のモティヴェーション、実際の行動や社会的責任の問題について、新資料にもとづく研究の成果が発表され活発な討論がおこなわれた。後者のシンポでは戦争と科学をめぐる諸問題について意見が交換された。とくに、科学者を戦時研究に動員する機構の問題、科学者の政治との関わり、冷戦型研究・教育体制の世界的波及など、新しい論点が提示された。
目次
第I部 公開シンポジウム 核開発の国際史―核時代の幕開けにおける科学者の社会的責任―
第1章 アメリカの物理学者―第二次世界大戦における核兵器および社会的責任―ローレンス・ベイダッシュ
第2章 ソヴィエトの核科学者たちの倫理的モティヴェーションについて イーゴリ・S・ドロヴェニコフ
第3章 ドイツ“ウランの科学者たち”の意図と行動 マーク・ウォーカー
第4章 日本の戦時核開発と広島の衝撃 山崎正勝
第5章 コメントと討論 ウォルター・グルンデン/沢田昭二
第II部 国際シンポジウム 二〇世紀における戦争・冷戦と科学・技術―国際共同研究の展望―
第6章 基調報告 戦争と科学をめぐる諸問題 常石敬一
第7章 戦時中の日本における科学者動員 田中浩朗/河村 豊
第8章 “ドイツの科学は前進する!”―第二次世界大戦期ドイツ兵器研究の成功 ヘルムート・マイヤー
第9章 核時代における科学者と政治的積極主義の賭 ジェシカ・ワン
第10章 ソ連邦科学アカデミーと戦争 エドゥアルド・I・コルチンスキー
第11章 “醜いアメリカ人”―冷戦期アメリカの技術援助計画― スチュアート・ウィリアム・レスリー