物理化学入門
バイオサイエンスのための

物理化学入門

著者名 松本 孝芳
発行元 丸善出版
発行年月日 2005年03月
判型 A5 210×148
ページ数 240ページ
ISBN 978-4-621-07581-4
Cコード 3043
ジャンル 化学・化学工学 >  物理化学 >  基礎物理化学

内容紹介

生命科学(バイオ関連)を学ぶ学生にかかすことのできない物理化学の、主に熱力学について基礎を平易に、しっかりと解説した教科書。つまづきやすい箇所をいかに理解させるか工夫されている。原子・分子など高校化学の内容から解説を始め、生命系を題材として展開。神経による刺激の伝達を司る膜電位、バイオ電池まで話を進めている。

目次

第1章 はじめに
 1.1 空間・時間の広がりとエネルギー
 1.2 物質―質量と重量
 1.3 原子・分子の概念へ
  コラム1.1:知るとは如何なることか
  コラム1.2:E-mc2について 
第2章 原子の構造
 2.1 原子量
 2.2 電子の存在の確認
 2.3 電気素量の決定
 2.4 原子核の存在の確認とその大きさ
 2.5 電子の運動・量子論への進展
  コラム2.1:重力と電気的力の大きさ比べ
第3章 微視的世界から巨視的世界へ 
 3.1 ブラウン運動
 3.2 光のエネルギー
 3.3 運動エネルギーとポテンシャルエネルギー
第4章 気体分子運動論 
 4.1 気体、液体、固体はどこが違うか
 4.2 理想気体の性質
 4.3 気体の運動エネルギー
 4.4 マックスウェルーボルツマン分布
 4.5 運動の自由度とエネルギー均分則
 4.6 エネルギー均分則と熱容量
 4.7 理想気体からのずれ―ファン・デル・ワールスの式
 4.8 分子の衝突、平均自由行程と気体の粘度
  コラム4.1:ボルツマン分布則による気体の垂直分布
  コラム4.2:平均値について  
第5章 エネルギーの保存
 5.1 系と外界
 5.2 仕事と熱
 5.3 熱力学第一法則
 5.4 可逆変化と不可逆変化
 5.5 可逆変化,不可逆変化による仕事
 5.6 定容変化における内部エネルギー変化
 5.7 エンタルピー
 5.8 熱容量
 5.9 断熱変化による仕事
 5.10 化学反応に伴うエンタルピー変化
  コラム5.1:気体の断熱圧縮による脱脂綿の発火実験
  コラム5.2:大気の断熱変化と自然現象の関連,フェーン現象と大気の循環
  付録A5.1:CP>CVの一般的証明
第6章 エントロピー
 6.1 自然の変化の方向について
 6.2 エントロピーとは何か
 6.3 エントロピー増大の法則
 6.4 エントロピーはどのようにして導入されたか
 6.5 混合のエントロピー
 6.6 熱の拡散と物質拡散によるエントロピー変化
 6.7 エントロピーと仕事をする能力
 6.8 エントロピーと確率・情報
 6.9 エントロピーと生物の感覚
 6.10 相転移によるエントロピー変化
 6.11 エントロピーゼロと残余エントロピー
 6.12 化学反応に伴うエントロピー変化
 6.13 生物と負エントロピー(ネゲントロピー)
  コラム6.1:生物の感覚と刺激
  コラム6.2:エントロピーと耐熱性高分子の設計
  コラム6.3:食品とネゲントロピー
  付録A6.1:完全微分と不完全微分  
第7章 自由エネルギー
 7.1 ヘルムホルツの自由エネルギーとギブスの自由エネルギー
 7.2 自由エネルギーと自発変化の方向
 7.3 自由エネルギーと最大仕事の関係
 7.4 化学反応に伴う自由エネルギー変化と生命活動における共役反応の例
 7.5 自由エネルギーについてのさらなる考察
 7.6 自由エネルギーと力学的仕事
 7.7 組成変化を伴う系におけるギブスの自由エネルギー変化
 7.8 ギブスの自由エネルギー変化の圧力依存性
 7.9 ギブスの自由エネルギー変化の温度依存性
 7.10 ギブスの自由エネルギーと平衡定数
 7.11 平衡定数の温度依存性
 7.12 生化学的標準状態と乳酸発酵
  コラム7.1:ゴム分子とエントロピー弾性の幼児モデル
  コラム7.2:ガフ‐ジュール効果
  コラム7.3:部分モル量
  コラム7.4:ΔGの温度依存性の計算例
  コラム7.5:乳酸発酵と近江のふなずし
  付録A7.1:クラウジウス‐クラペイロンの式
第8章 自由エネルギーと平衡 
 8.1 不均質系の平衡
 8.2 混合のギブスの自由エネルギーおよびエントロピー
 8.3 束一的性質
 8.4 溶質の活量
 8.5 電解質の活量と化学ポテンシャル
 8.6 ドナン膜平衡
  コラム8.1:ギブズの相律
  コラム8.2:バイオマスと超臨界水
  コラム8.3:高分子化合物の分子量分布 
第9章 自由エネルギーと電位
 9.1 電池の起電力
 9.2 化学電池
 9.3 標準電極電位
 9.4 ネルンストの式
 9.5 種々の電池
 9.6 膜電位 
  コラム9.1:ΔG°fから標準起電力の計算
第10章 おわりに―環境,リサイクル問題へのアプローチ
 10.1 地球におけるエネルギーとエントロピーの収支
 10.2 自然科学あるいは技術の発展について
  コラム10.1:人口増加の速度論的解析
  コラム10.2:二酸化炭素排出量と産業の発展
 付表A1 無機化合物の1atm,298Kにおける熱力学的データ
 付表A2 有機化合物の1atm,298Kにおける熱力学的データ

定価:3,520円
(本体3,200円+税10%)
在庫:品切れ・重版未定

▼ 補足資料