身体論のすすめ
著者名 | 菊地 暁 編 |
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発行元 | 丸善出版 |
発行年月日 | 2005年04月 |
判型 | 四六 188×128 |
ページ数 | 206ページ |
ISBN | 978-4-621-07598-2 |
Cコード | 1330 |
NDCコード | 114 |
ジャンル | 科学一般 > シリーズ科学一般 > 京大人気講義シリーズ |
内容紹介
誰もが一つずつもつ「身体」。誰一人として同じでない「身体」。その「身体」という契機によって、私たちが繰り返し問い続けるに値する根底的な「問い」を、その根っこからラディカルに確認すること――それこそが本書のめざすところである。表象理論、美術、音楽、技、宗教、王権、学校、労働、生命科学、近代医学……11人の論者が、それぞれの関心と方法にしたがってその「問い」を掘り下げたものが本書。それはときに補いあい、ときに重なりあい、ときに呼びかけあい、ときに打ち消しあう。だから、本書に「答え」は、ない。本書が指し示すものは、あくまで「入り口」、そしてそこから続く果てしない知的探求への「予感」だけだ。
目次
序章 寄せて上げる冒険―あるいは身体のポリティクス――菊地 暁
1 あくなき計測
2 ピッタリ・フィット
3 「谷間」の発見
4 商品の語る身体
5 身体のポリティクスにむけて
第I部 表現と身体
第1章 ポルノ的身体とは何か―表象理論と身体――大浦 康介
1 ネイキッドと猥褻
2 覗きはポルノの原点である
3 頭のない裸体
4 ダゲレオタイプ
5 ハードコア
6 セックス・アスリートたち
第2章 日本で裸体を描く―美術と身体―高階 絵里加
1 「理想」としてのヌード
2 日本初の裸体画
3 人体表現の東西
4 観念としての裸体
5 「日本的裸体」へ
第3章 音楽は「聴く」ものか―音楽と身体―岡田 暁生
1 音楽を「見る」/「感じる」/「触る」
2 読む音楽/聴こえない音楽?
3 「音楽における西洋」のアクチュアリティ
第II部 行為と身体
第4章 僕は、昔、皿洗いだった―技能と身体―菊地 暁
1 口でいうこと/実際にやること
2 返却口ノムコウ
3 速度という使命
4 仕事を遊ぶ―技能の革新
5 技能はどこにあるのか
第5章 痛み・悼み・祈る―宗教と身体―小牧 幸代
1 祈る「こころ」と「からだ」
2 「からだ」なき祈り?
3 痛む「からだ」で祈る
4 痛む「からだ」で悼む
第III部 制度と身体
第6章 明治維新と天皇―天皇制の身体―高木 博志
1 「神の裔」としての天皇の身体
2 京都御所のなかの近世天皇
3 近代の天皇の形成
第7章 教室で座るということ―学校と身体―谷川 穣
1 近代日本の「学校と身体」への視点
2 寺子屋で座ること
3 教室で座ること
4 椅子と「学校病」
5 学習の変化とモノ――「読む」紙・「書く」紙
第8章 耕す体のリズムとノイズ―労働と身体―藤原 辰史
1 「身体」「肉体」そして「疲労」
2 トラクターの登場
3 しのびよる振動と騒音
4 唄による疲労の解消
5 リズムとノイズ
第IV部 科学と身体
第9章 「機械」と「歴史」のあいだ―生命科学の身体観―加藤 和人
1 「ヒトゲノム計画」完了
2 「機械」としての生命
3 「歴史」としての生命
4 「機械」と「歴史」のあいだ
第10章 「血液循環の発見」とは何か―近代医学の身体観―田中 祐理子
1 「生きているもの」の数
2 全体と部分
3 中心の発見
4 「予約」された近代
終章 言葉にできない―死と身体―森本 淳生
1 私のカラダはただ一つ?―意識と指向性
2 焼肉は屍肉か?―死体の現象学
3 人形に恋する男
4 鏡の中の渡し