合意形成の倫理学
著者名 | 加藤 尚武 著 |
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発行元 | 丸善出版 |
発行年月日 | 2009年03月 |
判型 | 四六 188×128 |
ページ数 | 206ページ |
ISBN | 978-4-621-08069-6 |
Cコード | 1312 |
NDCコード | 361 |
ジャンル | 人文科学 > 倫理学 人文科学 > シリーズ人文科学 > 現代社会の倫理を考える |
内容紹介
現代社会の様々な問題解決のために、我々は、いかに合意を形成させ、ルール作りを行い、そして正義を確立させればいいのか―そのための最も有効な手段、それが応用倫理学である。本書では、生命操作の行方、環境問題解決のための合意、刑罰・罰則のあり方、等々、近年世間を騒がした社会問題を俎上にのせ、応用倫理学の視点から明快な問題解決へのヴィジョンを提示する。
目次
第1章 よい合意とは何か
第2章 意志決定の数学的理論
1「サヴェッジのオムレツ」/2「サヴェッジのオムレツ」論に対する批評/3 ハーバード・A・サイモ
ン/4 数量的合理性の根拠
第3章 最初の合意形成―交易とナッシュ均衡
1 ナッシュ均衡/2 ヒュームの正義論/3 ハイエクの「自生的秩序」
第4章 相互性の倫理と「善きサマリア人」の倫理―カントとハバーマス
1 国王から偽証を強要されたらどうするか/2 嘘をついてはいけない理由/3 道徳法則の定式(定
言命法)/4 善きサマリア人の譬え/5 ハバーマスの討議倫理学
第5章 人間に立法権はあるか
1 神のみが法律を制定する/2 ケルゼン
第6章 合意形成の条件
1 漁獲規制の問題/2 共有地の悲劇/3 漁業資源の自由主義的管理案/4 地球有限主義・世代間
倫理・種の生存権/5 自由主義の限界/6 世代間関係と持続可能性/7 経済学者による枯渇説
批判―埋蔵量の変化
第7章 裁判という合意形成
1 神の代理人/2 故意と過失/3 刑事責任論の原型/4 新旧の過失論/5 大野病院事件の判決
/6 裁判での合意形成と多数決
第8章 法律をつくる合意―代理母を実例に
1 遺伝子では親子関係が決まらない/2 専門家のあいだでの合意/3 少数者問題/4 法律の改正
は必要か/5 誰が本当のお母さんか/6 国会で決めれば代理懐胎は禁止できるか/7 公序良俗
に反するから契約が無効になるのか
第9章 最後の合意形成
1 自分自身が変わる/2 ふたたび、みたび終末期医療について/3 終末期の定義の変更―平成四
(一九九二)年報告書から平成16(2004)年報告書へ/4 cureからcareへの転換点以後が終
末期―「平成18(2006)年報告」/5 治る希望をもってよいのか/6 東海大学事件判決
/7 アメリカとの違い/8 患者本人の意思表示
第10章 異なる文明間の合意形成は可能か
1 精神革命としてのイラン革命/2 文明の衝突と寛容の原則/3 ピエール・ベールの寛容論/4 聖
俗二元論と近代化/5 イスラムの原理と現実/6 永久平和の可能性
終章 本書の理論的背景
1 厳密主義と非厳密主義/2 個別的に偶然的、全体的に必然的/3 コンベンションから権利へ/4
カントの異星人仮説/5スーパー民主主義/6未来世代問題、少数者問題
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第1章 よい合意とは何か
第2章 意志決定の数学的理論
第3章 最初の合意形成――交易とナッシュ均衡
第4章 相互性の倫理と「善きサマリア人」の倫理――カントとハバーマス
第5章 人間に立法権はあるか
第6章 合意形成の条件
第7章 裁判という合意形成
第8章 法律をつくる合意――代理母を実例に
第9章 最後の合意形成
第10章 異なる文明間の合意形成は可能か
あとがき――本書の理論的背景