保全生物学

保全生物学

生物多様性のための科学と実践
原書名 Conservation Biology
著者名 井田 秀行
大窪 久美子
倉本 宣
夏原 由博
発行元 丸善出版
発行年月日 2004年03月
判型 A5 210×148
ページ数 392ページ
ISBN 978-4-621-07426-8
Cコード 3045
ジャンル 生物・生命科学

内容紹介

限られた地球の資源を有効に生かしていくためには、資源をうまく管理する必要がある。生物保全性とは、遺伝子、種、およひむ群集を枯渇させずに利用できるよう自然界についての情報をもたらすことにつとめ、地球の豊かさを特徴づける生物の多様性を維持することを目的とした学問である。本書はオーソドックスな生物保全学のテキストとして書かれたもので、生物の多様性と地球の特徴的な生態系を紹介したのち、保全の問題と生物多様性の脅威となる問題を探り、次に保全生物学の発達や、現在および将来の保全活動について論じた内容。この1000年余りで大きく生態系が変わってしまったヨーロッパの事例を主にとりあげている。

目次

第1章 自然界
 われわれが失ったものは何か
 生物における多様性
 生物多様性のパターン
 自然界の有用性
 野生における経験
 BOX1.1 生物多様性の歴史的変遷――過去からの教訓
 BOX1.2 地球上の種数における現在の推定
 BOX1.3 自然気候の変化と氷期サイクルの影響
第2章 世界の主要な生態系
 生態系の概念
 陸上環境
 山地環境
 水界環境
 BOX2.1 支配的な非生物的環境の特徴
第3章 人間の影響
 人工増加
 現在の人間の影響
 種の絶滅に対する人間の影響
 BOX3.1 気候と人間が英国の景観に及ぼす影響
 BOX3.2 米国の土砂嵐の被害を受けた大草原地帯――学ばれた教訓?
 BOX3.3 人工の増加と保全問題との間に関連があるか? 
第4章 生息地の破壊の影響
 はじめに
 生息地の破壊のパターン
 生息地の破壊による生物的影響
 種の分布域の縮小
 BOX4.1 遺伝的変異の消失――何が問題なのか?
第5章 生息地のかく乱の影響
 はじめに
 化学汚染
 外来種の侵入
 病原体の侵入
 遺伝子組換え生物
 生態系動態の物理的なかく乱
 補足――かく乱はつねに悪者なのか?
 BOX5.1 世界的な両生類の衰退は何が原因で起きているのか・
第6章 持続不能な利用
 持続可能な利用とは
 野生の個体群にける乱獲
 無生物資源の乱開発による影響
 BOX6.1 サンゴ礁の乱獲
第7章 保全生物学の起源
 はじめに
 初期の保全論者たち
 科学としての保全生物学の出現
 保全生物学と保全運動
第8章 保護区の選定
 はじめに
 保護区とは何か?
 保護区指定の歴史
 地域の保全上の価値を測定する基準
 保護区のデザインへの実際的なアプローチ
 BOX8.1 保護区およびその定義のICUNのカテゴリー(ICUN1994a)
 BOX8.2 生物多様性の迅速な評価のための形態種の使用
 BOX8.3 保全のための特別地域の選択
第9章 保護地域のデザインと管理
 保護地域のデザイン
 保護地域の管理
 半自然群衆の管理
 保護地域におけるモニタリングの変化
 BOX9.1 一般的な沼沢池の管理技術例
第10章 種の保護I 生息地での保全
 種の普通さと希少さ
 人間活動による種への脅威の評価と分類
 小個体群の管理
 種の衰退の測定
 小個体群における遺伝的管理
 種の遺伝的管理
 個体群の持続的な搾取
 BOX10.1 驚異のカテゴリーと種をおもなカテゴリーに当てはめるための基準のIUCNによる定義(IUCN2001より)
 BOX10.2 キタゾウアザラシにおける遺伝的ボトルネック
 BOX10.3 なぜ集団は遺伝子組成が異なるのか
 BOX10.4 アメリカオカミ問題
第11章 種の保護II 生息地以外での保全と再導入
 生息地以外での保全とは何か,またそれが必要とされるのはどんな場合か?
 植物についての生息地以外での保全
 動物についての生息地以外での保全――飼育繁殖
 種の再導入
 個体群の強化
 概観
 BOX11.1 IUCN再導入のためのガイドライン(IUCN1998)
 BOX11.2 討論のポイント――英国にオオカミを再導入すべきか?
第12章 景観スケールの保全
 景観におけるパッチ
 景観生態学と保全
 景観生態学から学ぶこと
 景観における種の移動の増加
 農業における変化からの機会
 都市景観における多様性のパターン
 生態系機能の保全
 生態系管理
 景観スケールでの管理――英国自然地域概念
 BOX12.1 景観生態学の要素
 BOX12.2 脱工業化ブラウンフィールド用地――都市景観における顧みられない生息地
第13章 進化プロセスを保全する(長期的視野に立った保全)
 危機の短絡的な保全
 自然のコントロールと保全
 進化的および生物地理学的スケールで保全計画を立案するための遺伝学の利用
 遺伝的多様性と群衆の多様性を連結する
 保全における分類学の利用
 進化プロセスを保全する
 BOX13.1 歴史的系つ地理学を利用したヒグマ(Ursus arctos)の種保全戦略の立案
第14章 生態学的復元
 はじめに
 実際的な復元の要素
 復元の事例研究
 復元はどこで行うべきか?
 農業環境計画
 生息地の創出
 保全の実施としての生態系復元の長所および短所
 BOX14.1 チョウの復元――われわれは無脊椎動物から何を学んだか?
第15章 科学を実践へ
 はじめに
 実務者と科学者の対称的な位置
 実証的保全――医療と公衆衛生から学ぶ
 有効性革命の保全への妥当性
 活動計画の形成――ギャップに橋を渡すための機会
 科学と実務をつなぐモデル
 行動開始
 BOX15.1 米国絶滅危惧種法
 BOX15.2 種活動計画の例
 BOX15.3 フェンの生息地活動計画
 BOX15.4 保護区管理の事例

定価:4,180円
(本体3,800円+税10%)
在庫:絶版