数理社会学事典

数理社会学事典

著者名 数理社会学会 数理社会学事典刊行委員会
発行元 丸善出版
発行年月日 2022年08月
判型 A5 210×148
ページ数 782ページ
ISBN 978-4-621-30665-9
Cコード 3536
NDCコード 361
ジャンル 数学・統計学 >  応用数学
人文科学 >  社会学

内容紹介

 「数理社会学事典の刊行は私の知る限り世界で初めての試みです。数理社会学が制度化されたのは、1950年代初頭のアメリカにおいてだと言われています。日本はその後塵を拝する形で研究を進めてきました。しかし、世界に先駆けて事典を刊行できたことは、誇りにしてよいと思います。」(「刊行にあたって」より)

 数理社会学は数学的論理を用いて社会現象を記述し説明することを目的とする学問である.

 日本で数理社会学会が設立されたのは1986年3月、それ以来すでに35年余の歴史があり、今後の発展も大いに期待されている。

 目次から明らかなように、数理社会学では社会における様々なことが幅広く対象となる。さらに、21世紀に入って以降、ビッグデータやAI(人工知能)などとの連携の期待も高まっており、データサイエンスの一翼を担う本分野の事典は、現代社会において必携のものである。

目次

刊行にあたって
編集委員一覧・執筆者一覧
目次
見出し語五十音索引
凡例

第I部 総論
第1章 数理社会学とは何か 
数理社会学とは何か
数理社会学の諸目的
フォーマライゼーションの意義
数理モデルとは何か
数理モデルとメカニズム
数理モデルと計量モデル
数理社会学とリアリティ

第2章 数理社会学の歴史と未来
数理社会学前史
黎明期1950年代
興隆期1960〜70年代前半
展開期1970年代後半〜世紀末
21世紀の新潮流
日本の数理社会学の歴史と展開
社会学史のなかの数理社会学

第II部 基礎論
第3章 合理的選択理論と行為の数理
合理的選択理論とは何か
期待効用最大化モデル
合理性をめぐって
合理的選択についての行動モデル
合理的選択理論と社会学的行為論
ミクロ-マクロリンクと合理的選択理論
合理的選択理論とゲーム理論
合理的選択理論と社会ネットワーク分析
合理的選択理論と分析社会学
合理的選択理論に対する批判とその問題点
合理的選択理論の応用例

第4章 ゲーム理論と相互行為の数理
ゲーム理論と数理社会学
ナッシュ均衡と自己拘束性
展開形ゲームと逐次合理性
不完備情報ゲームと逆選択
繰り返しゲームと長期的関係
進化ゲーム理論と社会科学
囚人のジレンマと互酬性
スパイト行動と空間構造
N人ゲームと社会的ジレンマ
秩序問題と二次ジレンマ
協力ゲームと提携集団
投票ゲームと影響力

第5章 決定論・確率論と社会過程の数理
決定論・確率論のモデルとは何か
ダイアド・モデルとその安定条件
軍拡競争のモデル
集団内の相互作用と親密性のモデル
社会的態度変容の確率モデル
ポアソンプロセス・モデル
伝播・普及のモデル
カタストロフィー・モデル
カオス・モデル

第6章 ネットワーク理論と社会構造の数理
ネットワーク理論とは何か
ネットワークの要素とその基本的な数学的定義
ネットワークデータの収集をめぐる諸問題
二者関係と三者関係
中心性と中心化,卓越性
サブグループの分割
ネットワーク上の位置と役割
ネットワークに関する統計的手法
組織とネットワーク
社会関係資本
社会システムへの信頼
大規模ネットワーク
インターネットを介した関係

第7章 社会的選択理論と決定の数理
社会的選択理論とは何か
コンドルセの陪審定理
アローの一般可能性定理
センのリベラルパラドクス
戦略的操作とギバード=サタスウェイトの定理
平等と分配的正義
判断集計
合意形成の数理
集合的意思決定への実験アプローチ
社会的選択理論と理論社会学(権力論と秩序問題)
社会的選択理論と理論社会学(機能主義をめぐる問題)

第III部 実践編
第8章 職業と労働分野の数理モデル
入職における実績関係
昇進における空席の連鎖
昇進とソーシャル・キャピタル
転職における弱い紐帯の強さ
交換と権力
社会的地位としての職業
分断労働市場
構造的空隙
性別職域分離

第9章 教育と進学分野の数理モデル
ブードンによる教育機会のモデル
相対リスク回避モデル
維持される進学の格差
学力試験と進学モデル
シグナリング・モデル
学歴の因果効果の異質性

第10章 階層と不平等分野の数理モデル
階層帰属意識
居住分離
統計的差別
社会移動モデル
所得分布モデル
資産格差とその趨勢
不平等生成要因としてのレント
マネーの統計力学モデル
搾取の数理モデル
地位階層制モデル

第11章 家族と結婚分野の数理モデル
恋愛と結婚
結婚関数
性別役割分業
出産(再生産)
出生力低下
世帯

第12章 地域と環境分野の数理モデル
社会的ジレンマの実践的課題
共有地の悲劇
コモンズ問題
互恵的システムと地域再生
環境汚染のフリーライダー問題
環境配慮行動のメカニズム
信頼と協同
コミュニティ形成のダイナミクス

第13章 幸福と福祉分野の数理モデル
相対的剝奪のモデル
不平等と相対的剝奪
幸福のパラドクス
不平等と再分配
貧困
福祉とケイパビリティ
年金問題の数理
健康と格差

第IV部 応用編
第14章 社会シミュレーションと数理社会学の連携
社会シミュレーションとは何か
社会シミュレーションの類型
モンテカルロ法
セルラオートマタ
システムダイナミクス
エージェントベース・モデル
生成的モデリング
アクセルロッドの戦略対戦
カウフマンのNKモデル
社会シミュレーションにおけるネットワーク・モデルの役割
人工市場
参加型シミュレーション
ゲーミング・シミュレーション
社会シミュレーションの評価
社会シミュレーションと文理融合

第15章 計算社会科学と数理社会学の連携
計算社会科学とは何か
テキスト分析(テキストマイニング)
デジタル実験
ビッグデータ収集
デジタルサーベイ
オピニオンダイナミクス
拡散・伝播モデル
意味のモデル
社会的影響力・マタイ効果モデル
AIと社会

第16章 計量社会学と数理社会学の連携
計量社会学と数理社会学の連携
統計的因果推論のモデル
一般化線形モデル
ベイズ統計モデリング
質的比較分析
実証分析における誘導型推定と構造推定

第V部 特論
第17章 役割と社会規範
社会規範の生成
役割の規範的メカニズム
役割と社会構造
役割知識と役割認識
社会的カテゴリー論

第18章 意図せざる結果と予言の自己成就
公式組織における意図せざる結果と合理性
集合行為と意図せざる結果
うわさの否定がもたらす意図せざる結果
「予言の自己成就」の因果メカニズムと合理性
差別における予言の自己成就

第19章 古典理論の数理化
古典理論の数理化
テンニース:ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの構造
ジンメル:三人集団の形式
デュルケム:分業と連帯
ウェーバー:宗教倫理と資本主義の発達
パーソンズ:役割期待の相補性とバランス
ホマンズ:社会的交換
ゴッフマン:儀礼的無関心
レヴィ=ストロース:親族の基本構造

和文参照・引用文献
欧文参照・引用文献
事項索引
人名索引

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