遺伝学の百科事典

遺伝学の百科事典

継承と多様性の源
著者名 公益財団法人 遺伝学普及会 日本遺伝学会
発行元 丸善出版
発行年月日 2022年01月
判型 A5 210×148
ページ数 690ページ
ISBN 978-4-621-30660-4
Cコード 3545
NDCコード 467
ジャンル 生物・生命科学
生物・生命科学 >  細胞・遺伝・進化
生物・生命科学 >  生物・生命科学_事典・便覧

内容紹介

遺伝学は、祖先から子孫へ様々な特徴がどのように受け継がれるのかをひもとき、これほど多種多様な生命が地球上になぜ存在するのかを解き明かす学問です。遺伝学の知見は生命科学の分野だけではなく、物理学や化学、工学、さらには遺伝子組換え、ヒトゲノムの解読、ゲノム編集といった技術の発展に伴い、人文・社会科学にも影響を与えています。つまり、遺伝学とは現代の根幹を担う学問といえます。

本書には遺伝学の基礎知識から先端的な研究まで、豊富な知見が幅広くまとめられています。今の遺伝学の重要テーマを知り、遺伝学の歴史も俯瞰できるように工夫しました。広範囲にわたる内容は、各テーマをリードする研究者による書き下ろしです。

日本の遺伝学を牽引した木原均は「地球の歴史は地層に、生物の歴史は染色体に記されている」と述べました。本書には遺伝学の歴史が記されています。科学に挑む方にとって、未来への道標となる必携の書となっています。

目次

1.現代社会と遺伝学

遺伝学用語
遺伝学教育,遺伝リテラシー
プラネタリー・バウンダリー
環境と遺伝子変化   
遺伝情報の変化と発がん
遺伝と環境―氏と育ち
再生医療
放射線と遺伝学,被曝と健康
遺伝子工学
遺伝子検査
ゲノム研究,遺伝学研究と倫理的・法的・社会的課題
オーダーメイド医療,プレシジョン医療,ゲノム医療
高齢化と遺伝
ヒトの性,その認識の多様性
出生前診断
遺伝カウンセリング
優生学
保全遺伝学
遺伝子組換え作物・遺伝子組換え食品 
新興感染症/バイオテロ


2.進化と遺伝学

木村資生と中立説
太田朋子とほぼ中立説
大野乾と全ゲノム重複
メンデル集団と遺伝子頻度
遺伝子の系図
遺伝様式と法則
集団構造,分化と隔離
変異(率)
遺伝的組換え(率)
遺伝的多様性・多様度
量的形質 
分子進化と表現型進化 
系統樹,遺伝子系統樹
塩基置換の速度とパターン
突然変異と自然選択
ゲノム構造と機能の進化
エピゲノムの進化
水平伝播と進化


3.分子と遺伝学

セントラルドグマ
DNA・RNA
遺伝暗号
ゲノム,遺伝子,アレル,遺伝子型
プラスミドの発見と複製機構
染色体の構造とその分配
セントロメアとテロメア
減数分裂期組換えの分子機構
部位特異的組換え
V(D)J組換え
原核生物の組換え修復
真核生物の組換え修復
出芽酵母の接合型変換
修復と変異
酸化損傷と修復
遺伝子発現(原核生物) 
真核生物の遺伝子発現
スプライシング
非コードDNA
非コードRNA
翻訳,リボソーム
タンパク質品質管理
ヒートショック応答
細胞周期
DNA損傷チェックポイント
連鎖,染色体地図,ゲノムマッピング
クリスパー・キャス9
制限修飾系と細菌メチローム
ゲノミクス・オミックス
ユビキチンによる細胞機能制御


4.発生,細胞機能と遺伝学

減数分裂
配偶子形成
受精
初期発生
幹細胞,ES細胞,iPS細胞
ホメオティック変異
神経細胞分化
神経形態形成
器官形成
生物の再生
性決定 
人工染色体
マウスの遺伝子操作
光遺伝学
ミトコンドリア
葉緑体 
中心体
細胞膜輸送系
オートファジー
サーカディアンリズム
細胞骨格
細胞接着


5.ヒトと遺伝学

霊長類の多様性
ヒトの起源と多様性
日本人の成り立ち
ヒトゲノム
環境適応とヒトゲノムの進化
ヒト遺伝形質の多様性
遺伝医学
遺伝病
染色体異常と先天性疾患
遺伝子異常と染色体異常
色覚多様性の遺伝学
OMIM
性分化疾患
多因子疾患のゲノムワイド関連解析
遺伝性腫瘍
免疫遺伝学
主要組織適合遺伝子複合体と疾患
老化と遺伝
ゲノム刷り込みと疾患
ミトコンドリア病
DNA修復欠損と疾患
繰り返し配列とヒトの疾病
多因子疾患における転写制御
新興感染症・人獣共通感染症


6.行動と遺伝学

行動遺伝学の歴史
行動遺伝学のモデル生物
学習と記憶の行動遺伝学
睡眠の行動遺伝学
言語の進化と行動遺伝学
求愛行動と遺伝子
攻撃性と遺伝子
コンパニオン動物の行動遺伝学
選択交配と行動遺伝学
種間の行動多様性の分子基盤
親子関係の遺伝的・非遺伝的基盤
利他的行動の進化と遺伝
脳神経系遺伝子と神経回路
視覚の遺伝子
嗅覚と遺伝子
味覚と遺伝子
聴覚と遺伝子
痛覚・痒覚と遺伝子
行動・精神疾患の遺伝学
野生動物の行動遺伝学
季節適応の行動遺伝学
社会性昆虫の行動遺伝学
産業動物の行動遺伝学


7.植物と遺伝学

植物遺伝学の歴史
分化全能性と植物
植物の胚発生
栄養成長期の発生・形態形成
花成制御
生殖成長期の発生・形態形成
花粉と胚のうの形成
重複受精
環境応答と形態の可塑性
植物ホルモン
植物とトランスポゾン
葉緑体ゲノムと細胞質遺伝
レトログレードシグナル
葉緑体の獲得と共生
雄性不稔性
自家不和合性
ヘテロシスとアポミクシス
植物の種分化と倍数性
植物の性決定と進化
花と動物の共進化
植物の生活環の進化
栽培植物の起源と進化
病原体や害虫に対する植物の応答
分子育種と遺伝子操作
植物遺伝資源


8.微生物と遺伝学

原核微生物の遺伝解析
真核微生物の遺伝解析
極限環境の微生物
微生物の生存環境と遺伝子
環境応答
微生物の代謝機構
マイクロバイオーム
環境ゲノミクス
微生物の増殖制御機構
トキシン‐アンチトキシン
細胞分裂と細胞形態
染色体複製の制御機構
遺伝子の水平伝播
転移因子
染色体分配
遺伝子工学における微生物の利用
微生物の細胞運動
プラスミド
微生物のゲノム工学


9.生物情報と遺伝学

ナショナルバイオリソース事業
国際塩基配列データベース(INSDC)
タンパク質立体構造データベース
代謝パスウェイデータベース
遺伝統計学
ゲノム・オミックス解析
ヒト疾患のバイオバンクとデータベース
疾患バイオバンク
医療オミックス
ゲノム解析プラットフォームGalaxy
遺伝子情報取得・加工ツールBioMart
ネットワークの可視化
生命情報におけるAI
プログラミングとバージョン管理
アラインメント
ホモロジー検索
次世代シークエンサー解析
トランスクリプトーム解析
プロテオーム解析
代謝パスウェイ解析
バイオキュレーション
進化距離推定
ゲノム多様性解析


10.エピジェネティクス

DNAメチル化と脱メチル化
ヒストン修飾
ヒストンバリアント
ヌクレオソーム動態
長鎖非コードRNA によるエピゲノム制御
小分子非コードRNA によるエピゲノム制御
核内高次構造
X染色体不活性化
老化とエピジェネティクス
疾患とエピジェネティクス
がんとエピジェネティクス
ヘテロクロマチンとユークロマチン
経世代エピジェネティクス
エピゲノム
ポジションエフェクトバリエゲーション
ポリコーム群とトライソラクス群
クロマチンリモデリング因子
トランスポゾンのエピジェネティック制御
生殖細胞とエピジェネティクス
記憶とエピジェネティクス
免疫とエピジェネティクス
iPS細胞とエピジェネティクス
ケミカルエピジェネティクスと創薬
エピジェネティクスと進化
原生動物のエピジェネティクス
植物の季節(温度)応答とエピジェネティクス


11. 歴史と遺伝学

遺伝学と種の起源―ダーウィンとその後継者の貢献
遺伝子概念の確立―メンデルとその後継者の貢献
遺伝学解析手法の変遷
分子遺伝学の歴史
遺伝学の教育史
遺伝学用語の変遷史


12.テクノロジーと遺伝学

電気泳動
遺伝子導入法
遺伝子クローニング
遺伝子組換え
染色体分染法
ハイブリダイゼーション
DNA ライブラリー
PCR
シークエンス解析
クロマチン免疫沈降
マイクロアレイ
超並列/次世代シークエンス解析
ゲノムワイド関連解析
コホート研究
ゲノム3次元構造とHi-C 法
合成生物学
ゲノム編集
遺伝学におけるイメージング技術


13.生物進化と遺伝的多様性

真核生物の起源
真核生物の進化と多様性
多細胞動物の起源と多様性
昆虫の進化と多様性
脊索動物の起源と進化
魚類の進化と多様性
四足動物の起源
鳥類の進化と多様性
哺乳類の進化と多様性
腸内細菌の進化と多様性
メタゲノム解析と原核生物の多様性
古細菌の進化と多様性
深海生物の多様性
藻類の多様性
陸上植物の進化と多様性
被子植物の形態形成と進化
植物病原菌と宿主の進化
真菌類の多様性
微生物の相互作用ネットワーク
遺伝子重複,倍数性と進化


14.遺伝学と生物

ウイルスおよびファージ
大腸菌・枯草菌
酵母
ゾウリムシ
細胞性粘菌
カタユウレイボヤ
線虫
ショウジョウバエ
カイコ
ゼブラフィッシュ
メダカ 
カエルとその他の両生類
ニワトリ・ウズラ
マウス
ラット
アサガオ
コムギ
イネ
シロイヌナズナとその他のモデル植物
トマトとその他のナス科栽培植物
ヒトとその他の霊長類


付録
系統分類
年表

人名索引
事項索引

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