SDGs時代のごみ問題
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SDGs時代のごみ問題

著者名 松藤 敏彦
発行元 丸善出版
発行年月日 2019年12月
判型 四六 188×128
ページ数 196ページ
ISBN 978-4-621-30471-6
Cコード 3051
NDCコード 518
ジャンル 社会科学

内容紹介

本書は,ごみ処理,リサイクルの事業や,低炭素社会づくり,持続可能な社会づくりに参画する方に向けて,著者の30年以上にわたる研究者生活における知見から「伝えたいこと,知ってほしいこと」をまとめたものである.リサイクルとはいかなる場面においてもよいとされることなのか,あるいはリサイクルのよさとはどう考えているのかといった観点を振り返ることから始め,科学的根拠の乏しい思い込みによる施策や安全対策,さらには「ごみ減量の施策とその効果」「日本のプラスチック戦略」「海洋プラスチック問題」など,今日関心が高い事柄まで,科学的視点に立ち,それらの是非について考える.SDGsへの取組や環境問題に対する意識が世界的に高まる中,一見してよさそうに思える取組やキャッチコピーを単に鵜呑みにするのではなく,各人がよさとは何かを見直し,持続可能な地域社会づくりにコミットしていくためのヒントが満載.

目次

序 章

環境の容量には限界がある/世界共通の目標‐‐持続可能な開発/日本における廃棄物処理の目標の変化/SDGs時代における廃棄物処理とは/限界を数値化したプラネタリー・バウンダリー


第1章 リサイクルはごみ処理よりよいのか?

リサイクルとは循環すること/以前からあるリサイクルは循環に無理がない/最近のリサイクルは循環システムをつくらなければならない/現代のごみ処理は悪くない/リサイクルからもごみが出る/ごみ処理とリサイクルの境界ははっきりしない/始めから終わりまで見ないとよいかどうかわからない/モノの流れをたどることでよさ・悪さがわかる


第2章 ごみ処理とリサイクルのサイエンス

ごみの特性は水分・可燃分・灰分で表す/燃えるのもヒトのエネルギーも有機物/焼却施設の仕組みと環境配慮の方法/酸素を使う微生物と嫌う微生物の技術/微生物処理は有用物を生み出す/埋立地における様々な環境対策/埋立を早く終了させるための工夫/燃やす以外の熱を使う技術/有機物を処理する様々な方法/細かくする破砕と分ける選別の技術/さらに詳しい情報


第3章 ごみの分別はなぜ必要なのか

どこまで分別すればよいのか/分別によってごみ処理の効率が上がる/分別すると資源化が簡単になる/可燃・不燃・大型の境界は市町村によりばらばら/プラスチックは可燃ごみか不燃ごみか/可燃ごみの様々な呼び名/ごみ処理を考えていない分別辞典/分別が悪いとあとで分けるのは大変/分別数の数え方は収集方法によって違う/改善は悪い例を知ることから/よりよい計画のためにはPDCAサイクルが重要


第4章 リサイクルとごみ処理のよさ・悪さの見方

ライフサイクルを通して考えることが大切/分別の数を増やすと収集コストは増加する/混ぜて集めるとあとでロスが大きくなる/集めすぎると需要と供給のバランスがくずれる/再生されたモノの使われ方/発電量より正味の電力回収量が大事/メタン発酵のよさはライフサイクルで見る/リサイクルされた量の様々な見方/リサイクルもエネルギー節約の効果がある/利用されないとリサイクルにならない/廃棄物処理の優先順位はいつも正しいとは言えない/EUにおけるリサイクルの考え方/すべての処理やリサイクルは埋立のため/ごみ処理とリサイクルの見える化が必要/災害廃棄物の特徴と対策/さらに詳しい情報


第5章 プラスチックをめぐる様々な問題

海洋プラスチック発生量はどのように推定されたのか/日本からの海洋プラスチック発生量推定は過大/海辺や川岸に漂着するプラスチック/マイクロプラスチックの種類/輸出されているのは事業系のプラスチック/EUと日本のプラスチック戦略/レジ袋有料化は単なる象徴/プラスチックを燃やしても有害ガスは発生しない/マテリアルリサイクルは素材の寿命をのばす手段/欧米ではサーマルリサイクルはリサイクルではない/生分解性プラスチックよりもマテリアルリサイクルが大事/循環経済(サーキュラーエコノミー)


第6章 ごみはどこまで減らせるのか

リサイクル率は事業系も含んでいる/真のリサイクル率は求められない/残ったごみ(残余ごみ)という考え方/家庭からどんなものがごみになっているか/有料化は減量化を動機づける手段/もっとも簡単な減量化方法は資源の分別/動機づけを与える有料化の価格/有料化によるごみ減量効果の表し方/家庭でできるリデュースとリユース/有料化によって消えたごみ/ごみ減量の原因はごみの中身を調べればわかる/家庭での生ごみの堆肥化は難しくない/さらに詳しい情報


第7章 ごみ施設に対する住民の反対と理解

近くはダメという住民の態度/ごみ処理施設に対する負のイメージ/施設の周辺住民が抱く懸念と不安/健康に影響があるかどうかについての三つの誤解/ヒトへ達する量を最小化する工学技術/環境基準は大変安全側に設定されている/低い排ガス目標値設定による焼却施設の過剰な費用/埋立地の自主基準は管理を長期化する/埋立地はダイオキシンの安全な貯蔵施設/埋立地から絶対に水を出さない技術の過剰性/浸出水の漏出ゼロを目指さない欧米の埋立地/日本人が好む絶対安全/住民に対するよい対応が反対を減らす/住民に理解してもらうべきは説明の内容/ごみ有料化は効果を示して理解を得る/筆者の経験した住民とのコミュニケーション/住民が誘致したくなるごみ処理施設/さらに詳しい情報


第8章 適正処理を妨げている構造的な問題

法律におけるごみの分類/一般廃棄物と産業廃棄物ははっきり分けられない/産業廃棄物の種類もあいまい/廃棄物の分類が処理を非効率化している/欧米の分類は有害かどうかだけ/家庭にも有害な廃棄物がある/市町村による一般廃棄物処理が非効率化を生んでいる/産廃は危ないという誤解/事業効率性の高い産業廃棄物処理/市町村の知識蓄積を妨げる人事異動/プロの産廃処理業者を自治体が指導する矛盾/適正処理とは最小の環境影響で処理すること/さらに詳しい情報

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定価:2,420円
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