教育社会学事典

教育社会学事典(電子書籍)

著者名 日本教育社会学会
発行元 丸善出版
発行年月日 2018年02月

内容紹介

教育という人間社会の根源的な領域に客観的かつ科学的な分析視点からアプローチし、戦後日本の教育研究に多くの重要な知見と政策的視座を提供してきた教育社会学を、本企画では三部構成(理論・方法・研究領域)、全19章(教育社会学の学問的性格、教育社会学の歴史、理論、海外の教育社会学、計量分析、質的分析、社会化と人間形成、家族、ジェンダーと教育、初等・中等教育、教師、高等教育、生涯学習と地域社会、教育問題、階層と教育、経済と教育、教育政策、メディアと教育、グローバリゼーションと教育)で解説。教育事象の社会学的研究のみならず、教育現場における実践への活用も視野に入れ、現代教育社会学の全体像を的確に描き出すことを中心的課題に据える。そのため、教育社会学の主要なテーマを300項目(1項目2頁ないし4頁)程度取り上げ、見開き完結で、初学者から研究者まで、幅広い読者のニーズに応える中項目事典。

目次

■第I部 教育社会学の理論
I-第1章 教育社会学の学問的性格
 【編集担当:加野芳正、古賀正義】
概説:教育社会学の学問的性格
実証科学としての教育社会学
実践知と教育社会学
反省知としての教育社会学
政策科学としての教育社会学
教育改革と教育社会学
社会変動と教育社会学
ライフステージの変化とライフコース
リスク社会と教育社会学
教員養成と教育社会学
教育社会学と知のパラダイム
教育社会学と隣接諸科学の広がり
教育研究におけるミクロレベルとマクロレベル
教育臨床の社会学
教育の歴史社会学

I-第2章 教育社会学の歴史
 【編集担当:伊藤彰浩、橋本鉱市】
概説:教育社会学における組織と知識の制度化
近代化・産業化と教育社会学
戦前〜戦後改革期〜50年代の教育社会学   
教育学との連携・差別化
社会学との境界問題
戦後社会の変動と教育社会学
アメリカ教育社会学とその影響
イギリス新教育社会学とその影響
教職課程・実験講座と教育社会学
教育社会学と研究者集団
教育社会学の研究対象・方法の変化
パラダイムの拡散

I-第3章 理論
 【編集担当:広田照幸、倉石一郎】
概説:教育社会学の理論
機能主義理論

社会化
属性原理と業績原理
選抜と配分
官僚制
新制度主義
福祉国家
教育システム
再生産論
階級と階層
ネオ・マルクス主義
ペダゴジー論
文化資本 
ポストモダン論と生政治論
後期近代社会
批判的教育学
脱学校論
社会的排除
グローバリゼーション
教育社会学における研究方法論
教育言説
相互作用論
構築主義

I-第4章 海外の教育社会学
 【編集担当:岩永雅也、岩崎久美子】
概説:海外の教育社会学
アメリカの教育社会学
イギリスの教育社会学
フランスの教育社会学
ドイツの教育社会学
中国の教育社会学
韓国の教育社会学
台湾の教育社会学
オセアニアの教育社会学

■第II部 教育社会学の方法
II-第1章 計量分析
 【編集担当:三輪哲、中澤渉】
概説:教育社会学における計量分析の発展とその背景
学校における量的調査
教育調査の標本と設計
マクロデータの利用と分析
データアーカイブの活用と二次分析
教育の国際比較分析
発達を見るデータ
政策評価と計量分析
因果と相関
回帰分析
クロス表分析とその発展
時間的概念を含む縦断データ分析
多水準データの分析
構造方程式モデリング
変数間の類似性や関連性の布置
教育の数理・計量モデル

II-第2章 質的分析
 【編集担当:北澤毅、白松賢】
概説:質的調査
エスノグラフィー
インタビュー
エスノメソドロジー
会話分析
言説分析
歴史社会学的アプローチ
ライフヒストリー
ナラティブ・アプローチ
テクスト分析
ライフストーリー
事例研究法
映像データ分析
アクション・リサーチ
混合研究法
テキストマイニング

■第III部 教育社会学の研究領域
III-第1章 社会化と人間形成
 【編集担当:亀山佳明、秋葉昌樹】
概説:現代社会と人間形成の諸相
遊び
居場所
しつけ
親密性
感情労働
身体と作法
道徳的社会化
言語と社会化
応用演劇
アートセラピー
アイデンティティと危機
自己啓発
子どもの発見
ピアグループ(子ども集団)
子どもと悪
矯正教育
世代と教育
死生観の教育

III-第2章 家族
 【編集担当:天童睦子、小玉亮子】
概説:現代家族と教育の諸相
子育てと家庭教育の社会史
家父長制とジェンダー秩序
近代家族からポスト近代家族へ
未婚化社会
学校と家族問題
結婚と学歴
ひとり親家族と育児政策
家族と社会化
家族の教育戦略
ペアレントクラシー
少子化と子育て支援
社会化エージェントの孤立化と育児不安
父親の育児
家族の孤立・解体・貧困
消費社会と育児・教育
国際結婚と子育て

III-第3章 ジェンダーと教育
 【編集担当:木村涼子、多賀太】
概説:「ジェンダーと教育」研究の展開
教育における男性研究の視点
ジェンダーとインターセクショナリティ
ジェンダーと文化的再生産
乳幼児期のジェンダー形成
男女別カリキュラムの変遷
しつけや教育と身体のジェンダー化
学校体育・スポーツとジェンダー
若者文化とジェンダー
学力・教育達成とジェンダー
進路・ライフコースとジェンダー
教育実践と隠れたカリキュラム
教師のキャリアとジェンダー
性教育
暴力・ハラスメントとジェンダー
メディアとジェンダー

III-第4章 初等・中等教育
 【編集担当:酒井朗、岡本智周】
概説:学校教育の社会学ーその視座と領野の広がり
学校という社会的装置
組織としての学校
社会統制と学校
多文化共生と教育
学校段階間のアーティキュレーション
初等中等教育の国際比較
カリキュラムの社会学
教科外活動の社会学
学校知と権力
教授‐学習過程の社会学
学校教育が生み出す共同性
学校教育と身体
変容する就学前教育
家庭から学校への移行
学校文化と生徒文化
高校教育の量的拡大と質的変容
高校教育の現代的諸相―低成長下の多様化と生涯学習体系化
高校からのトランジション

III-第5章 教師
 【編集担当:油布佐和子、山田浩之】
概説:改革の時代の教師と教師研究の現在
教員政策
教員養成と大学の改革
教員評価と成果主義
教育実習の長期化と教員養成
教師の勤務環境と労働
教員組合
教員需給
チームとしての学校
職員室の機能と変化
教職専門性論の変容
不適格教師とは何か
高校における生徒指導
モンスターペアレントと教師
ゆらぐ教師像
教師のパースペクティブ
ライフヒストリ―とキャリア形成
女性教師
教員文化とその変化
教員研究の動向――不平等の再生産における教師期待の役割
教室のなかの教師と教育課題
戦前の教員養成

III-第6章 高等教育
 【編集担当:吉田文、濱中淳子】
概説:高等教育研究の諸相
大学とは何か
日本の高等教育システム
大衆化論
日本における高等教育政策
大学をめぐる力学
学生の教育機会と進路選択
高大接続問題
学生論
アカデミック・プロフェッション
大学教育のカリキュラム
大学教育の大道具・小道具
高等教育と職業人養成
質保証の変化
研究と知の生産
プロフェッショナル・スクール
大学財務
大学経営
企業が求める学生像
グローバル化のなかの大学

III-第7章 生涯学習と地域社会
 【編集担当:田中雅文、太田美幸】
概説:生涯学習と地域社会
学習社会
成人教育
成人学習論
社会教育
地域づくりと学習
高齢者の学習
大学と地域
地域と学校の関係
子どもの生活空間
フリースクール
在日外国人の学習
民間教育事業
成人のコンピテンシー
職業能力開発
ノンフォーマル教育
社会運動と成人学習

III-第8章 教育問題
 【編集担当:北澤毅、山田哲也】
概説:教育問題への社会学的アプローチ
逸 脱
非行・少年犯罪
少年矯正
医療化と発達障害
子どもの自殺
学力問題
いじめ
不登校
ひきこもり
中途退学
ライフコースの脱標準化
体 罰
人権問題
学級崩壊
ニューカマー
セクシュアリティと教育
学校安全
教師の燃え尽き
早期教育熱
子どもの虐待
貧困と子育て・教育
少子化問題

III-第9章 階層と教育
 【編集担当:近藤博之、平沢和司】
概説:階層と教育
メリトクラシー
機会の平等・結果の平等
階層と教育
階層と教育
非正規雇用
世代間移動と世代内移動
所得と世代間移動
学歴社会の展開
学歴社会における選抜
教育機会格差の趨勢
教育機会の男女・地域間格差
教育機会格差の文化的説明
教育機会格差の経済的説明と合理的選択理論による説明
学校効果
アファーマティブ・アクション
困難を伴う家庭と教育

III-第10章 教育と経済
 【編集担当:小林雅之、島一則】
概説:教育と経済
知識基盤社会の教育
人的資本論
シグナリング理論
教育投資と収益率
教育の生産関数
教育と経済成長
市場と教育
教育産業
高学歴化
学卒労働市場
インターンシップ
フリーター,ニート
教育財政
教育費の負担
奨学金

III-第11章 教育政策
 【編集担当:志水宏吉、菊地栄治】
概説:教育政策
教育の公共性
公正と卓越性
新自由主義
新保守主義
教育における政策決定過程
教育基本法
教育委員会制度
教育の地方分権
カリキュラム政策
学力政策
教育の民営化
学校選択制
小中一貫教育
中高一貫教育
学校統廃合
シティズンシップ教育
インクルーシブ教育

III-第12章 メディアと教育
 【編集担当:岩永雅也、大多和直樹】
概説:教育とメディア研究の諸相
〈メディア環境と教育社会〉
メディアの発展と子どもの生育環境
ネット社会
通信教育
〈ニューメディアと教育〉
メディア・リテラシー
遠隔教育
教育活動とICT・メディア
〈ニューメディアと若者〉
子どもの遊びとニューメディア
ニューメディアと若者文化・コミュニケーション
〈メディア社会の病理〉
メディアと子どもの健康・病理
電子メディアと暴力・犯罪
ネットいじめ
〈教育をめぐる情報空間〉
教育世論
教養メディア
メディアのなかの教育文化

III-第13章 グローバリゼーションと教育
 【編集担当:山内乾史、西村幹子】
概説:「グローバリゼーションと教育」研究の動向
〈人の移動〉
留学生の国際移動
留学生政策の進展
移民・難民に対する教育政策
移民・難民のアイデンティティの形成
〈国際協力のアクター〉
国際機関と国際教育協力
日本の国際教育協力
市民社会と国際教育協力
〈グローバルな教育の取り組み〉
ESD(持続可能な開発のための教育)
国際バカロレア
高等教育の多国間協力の進展
教育基準のグローバリゼーションと質保証
国際学力調査と教育へのインパクト
〈グローバル・コミュニケーション〉
グローバル化と言語教育
国際共通語としての英語教育

関連商品