内容紹介
医療には患者の疾病を治して苦痛を取り除き、患者を幸福にするプラスの面がある反面、人体実験や医療過誤、薬害等によって患者を傷つけ、患者を不幸にするマイナス面が存在する。我が国における医療人権侵害の背景には「人々を不幸にする構図」が存在している。したがってこれらの事態を防ごうとすれば医師のモラルや狭い意味での医療倫理にとどまらず、バイオエシックスの考え方およびその基本的な価値を踏まえて英知を結集して新しい社会的な仕組みを形作っていくほかはない。本巻では、マイナス面を具体的事例によって詳述するとともに、医療における事故と人権侵害について、各論者が医療・医学分野の倫理の枠にとどまらない議論を展開する。
目次
第1章 医療事故とその対応
第2章 薬害と生命倫理
第3章 医療過誤訴訟
第4章 薬害訴訟
第5章 公害病と人権侵害
第6章 臨床試験と人権侵害
第7章 患者運動としてのハンセン病訴訟
第8章 薬害エイズ訴訟
第9章 肝炎訴訟
第10章 予防接種禍訴訟
第11章 産科医療を巡る訴訟と産科医療補償制度
第12章 医療事故と刑事責任
第13章 医療事故調査委員会(リスク管理を含む)