内容紹介
これまでは研究論文における倫理はそれぞれの研究者の倫理観に任されてきたが、近年、研究者の置かれる立場、ひとつの研究に携わる人数が増えたことなどにより、個人による倫理観だけでは対応できない場面も生じている。 本書「科学者の発表倫理」は、公正な論文発表を目指す人々のための執筆ガイドとして、論文発表における不正行為(ミスコンダクト)の実態と影響を可視化して、ミスコンダクトは当事者の問題、研究者間の問題にとどまらないことを、具体例をあげながら解説。
目次
第1部 情報爆発への警告/
1章 不正行為から発表倫理へ
2章 生物医学雑誌への統一投稿規程の誕生
3章 必要な重複発表
第2部 論文の真の執筆者は誰か/
4章 イグ・ノーベル賞にみるオーサーシップ
5章 ゴースト・オーサーシップの実態
6章 コレスポンディング・オーサーの役割
7章 オーサーシップのグローバル化
第3部 公正さを欠く論文評価/
8章 レフェリー・システムの限界
9章 ネガティブな研究結果は好まれない
第4部 扱い基準のない撤回論文/
10章 撤回声明から懸念表明へ
11章 日本論文検索サイト医中誌Webから見た撤回
12章 米国の論文検索サイトPubMedから見た日本の撤回
第5部 生き残るために/
13章 利益相反(COI)と産学連携
14章 インパクトファクターから読む学術雑誌出版
15章 研究公正局(ORI)の役割