内容紹介
数学を教え、学ぶことはなぜそんなに難しいのか?
これを理解するために、本書では、進化の生存競争で利点をもたらした結果、人間に生得的に埋め込まれるようになった直観的な数学の能力と、そうでない能力の違いを認識する重要性を指摘する。
本書ではまず、ギリシャから始まり、ニュートン力学、電磁気の理論、相対論から量子論にいたるまで、物理的世界の記述のために数千年にわたって発展してきた数学が、直観的な数学とは衝突すると解説する。他にも、大きなサイズの標本に正しく対処する統計学的な能力や、ゲーム理論などの人間集団が取る行動の数学的分析のほか、人間には理解不能なコンピューターの高速性も直観的でないと説明され、それは論理を基礎とした厳密な数学のあり方にまで及ぶ。
本書の議論を踏まえた、数学の論理構造の階層とその理解の各段階の違いを理解すべきだという提言は、数学の学習や教育に関心のあるすべての人にとって有益だろう。
目次
監修にあたって
まえがき
第一章 進化と数学と数学の進化
第二章 数学とギリシャの人たちの世界観
第三章 数学と近代初期の世界観
第四章 数学と近代の世界観
第五章 ランダム性の数学
第六章 人間行動の数学
第七章 計算とコンピューター
第八章 本当に疑いはないか
第九章 数学における研究の性格
第十章 数学を教え、学ぶことはなぜそんなに難しいのか
あとがき
訳者あとがき
参考文献
人名索引
事項索引
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