内容紹介
不変的な工学知識をまとめた『東京大学工学教程』の一冊で、線形代数の標準的事項について、理工学の立場から整理し編纂した教科書。現代数学的に整理された抽象線形空間の理論を始めから持ち出すことは避け、理工学の場面で用いられる実数や複素数を要素とするベクトル表示や行列表現を積極的に用い、線形方程式や固有値等の数学的理論とその理工学的意味を丁寧に解説する。通常の学部初年次の講義で扱われる内容に留まることなく、さまざまな場面で必要になる線形代数の基礎についてセルフコンテインドに書かれており、初学者はもとより、学部初年次以降の復習・確認にも有用な一冊。続巻の『線形代数II』と合わせて理工学に必要な確かな線形代数のレファレンスにもなる。
目次
1 行列
1.1 行列
1.2 行列の演算
1.3 逆行列
1.4 転換と共役
1.5 トレース
1.6 ノルム
1.7 特殊な行列
2 行列式
2.1 置換
2.2 行列式の定義
2.3 多重線形性
2.4 諸公式
2.5 展開公式
2.6 余因子
2.7 行列の計算法
3 基本変形と掃き出し
3.1 行列の基本変形
3.2 階数標準形
3.3 既約階段形
3.4 逆行列の計算
4 階数
4.1 階数の定義
4.2 階数標準形と既約階段形の一意性
4.3 階数の性質
4.4 階数の工学的意味
5 線形方程式系
5.1 解の存在と一意性
5.2 解のパラメーター表示
5.3 掃き出し法
5.4 Cramerの公式
5.5 微分方程式の差分近似から生じる方程式
5.6 Sylvester方程式
5.7 Lyapunov方程式
6 固有値
6.1 固有値と固有ベクトル
6.2 固有値の工学的意味
6.3 対称行列の固有値
6.4 Hermite行列の固有値
6.5 Schur分解
6.6 正規行列
6.7 一般の行列の固有値
6.8 Jordan標準形
7 2次形式
7.1 2次形式の定義
7.2 対称行列の正定値性
7.3 Hermite行列の正定値性
7.4 工学における正定値行列
7.5 Sylvesterの慣性則
8 特異値と最小2乗法
8.1 特異性の定義
8.2 特異性の性質
8.3 最小2乗法
9 ベクトル空間
9.1 ベクトル空間
9.2 部分空間
9.3 線形独立性,線形従属性
9.4 基底
9.5 線形写像
9.6 内積
9.7 双対空間
9.8 行列の階数―ベクトル空間の観点から
9.9 マトロイド―線形独立性のもつ組合せ構造
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