内容紹介
日本における有限要素法の第一人者による集大成。著者は有限要素法の可能性とともにその限界にもいち早く気づき、節点を要しない(ノードレス) 手法や真の解を上界値と下界値で挟み撃ちする可能性などを探り、より柔軟性をもち、精度的にも優れた手法を提案してきた。本書は変位を未知量にとる仮想仕事の原理と、応力を未知量にとる補仮想仕事の原理を統合した「統一エネルギー原理」に基づく混合法の骨子とその計算例を解説したものである。これからの有限要素法の発展に資する可能性豊かな手法を示しており、近年注目を集めているV&V(検証と妥当性確認)にとっても大きな意味をもつものである。
目次
1 緒論
1.1 本書出版の背景
1.2 エネルギー原理の発展小史
2 新しい混合変分原理
2.1 Gaussの発散定理より導かれる統一エネルギー原理
2.2 統一エネルギー原理とHellinger-Reissnerの原理との比較
2.3 エネルギー原理統合化の小史
2.4 統一エネルギー原理から導かれる8種類の解法
2.5 上界解,下界解による挟み撃ち解法
2.6 統一エネルギー原理の導出プロセスの図示化
2.7 ノードレス要素の概要
3 変位関数,応力‐ひずみ関係式に関する一考察
3.1 はじめに
3.2 固体の変位関数に関する一考察
3.3 固体の応力–ひずみ関係式に関する一考察
4 1次元部材問題の定式化
4.1 はじめに
4.2 はり柱要素の平衡方程式
4.3 はりの軸変形,ねじりおよび曲げ問題
4.4 骨組構造
4.5 はり要素による数値計算例
5 2次元問題の定式化
5.1 はじめに
5.2 弾性膜のたわみ解析
5.3 棒のねじり
5.4 平面応力および平面ひずみ問題
6 平板の曲げ問題の定式化
6.1 はじめに
6.2 Kirchhoff-Loveの仮定に従う薄い平板の曲げ解析
6.3 平板の曲げ問題に対する有限要素解析
6.4 せん断変形の影響を考慮した平板の曲げ
6.5 Reissner-Mindlinの薄板の曲げ
7 弾性シェル理論の基礎定式化
7.1 はじめに
7.2 3次元弾性論を用いたシェル要素の基礎定式化
7.3 適用すべきエネルギー原理
8 統一エネルギー原理にもとづくノードレス要素のつくり方
8.1 はじめに
8.2 統一エネルギーにもとづく離散化
8.3 ノードレス要素とは
8.4 ノードレス要素の関数の仮定法
8.5 ノードレス要素解析のイメージ
8.6 境界条件とマトリックスの種類
8.7 線積分に伴う座標変換
8.8 平面問題における線積分の実行方法
8.9 ノードレス要素マトリックスの特徴
8.10 システム–マトリックスの作成
9 解析事例
9.1 平面応力問題の解析例
9.2 不整合メッシュ分割による平面応力問題の解析例
9.3 角棒のねじり剛性解析
9.4 平板の固有振動数解析
9.5 薄い平板の増分法による非線形解析
9.6 片持ち矩形平板の弾塑性解析
9.7 上下界解析と挟み撃ちの例
付録A 統一エネルギー原理から導かれる8つの解法の適用例