
内容紹介
高分子の幹に高分子の枝を接ぎ木(グラフト)することで、簡単に、既存材料に機能性を付与できる「放射線グラフト重合法」。この技術の応用範囲はますます広がっており、たとえば、最近開発された吸着繊維は福島第一原発で放射性セシウム除去に活躍している。 本書では、この放射線グラフト重合の基礎から研究・開発、そして製品に至るまでをまとめた。基礎研究の成果を製品につなぐことによって実現した「吸着材の革命」の現場を知ることができる一冊。
目次
第1章 グラフト重合の基礎
1.1 基本用語
1.2 分離性能の評価
1.3 分離材料のイノベーションの意義
第2章 グラフト鎖のサイエンス
2.1 グラフト鎖の長さ方向での官能基の分布
2.2 グラフト鎖の伸縮の検出:多孔性膜の孔表面上でのグラフト鎖の伸縮
2.3 グラフト鎖相は液仕様
2.4 ポリエチレンでのラジカルの生成とグラフト重合
2.5 グラフト鎖はイオン供給と安定担持の源
第3章 分離材料の形と性能の革命 その1 ~多孔性中空糸膜と多孔性シート~
3.1 分離用の機能性材料の設計指針
3.2 多孔性中空糸膜の分離材料を使った金属イオンの補集
3.3 多孔性中空糸膜の分離材料を使ったタンパク質の捕集
3.4 多孔性中空糸膜の分離材料を使った固定化酵素反応
3.5 タンパク質固定多孔性中空糸膜を使ったキラル分離
3.6 多孔性シートの分離材料
第4章 分離材料の形と性能の革命 その2 ~繊維,フィルム,そして粒子~
4.1 線維状の分離・反応材料
4.2 フィルム状の分離材料
4.3 粒子状の分離材料
第5章 グラフト鎖の競争
5.1 グラフト粒子充填カラムvs市販ビーズ充填カラム
5.2 グラフト多孔性中空糸膜vs市販ビーズ充填カラム
5.3 グラフト多孔性シートvs市販ビーズ充填カラム
5.4 グラフト遷移充填カラムvs市販ビーズ充填カラム
5.5 グラフトフィルムvs市販イオン交換膜
第6章 グラフト重合の製品
6.1 ボタン電池用隔膜
6.2 イオン交換吸着多孔性中空糸膜
6.3 塩基性ガス吸着不織布
6.4 放射性物質の吸着線維「ガガ」