内容紹介
新聞、テレビ、ラジオ、インターネットや電話でも気象情報は簡単に手に入る。しかし、はるか遠くの惑星を探査し、目に見えない素粒子の存在も明らかにした現代科学をもってしても、明日の気象を完璧に予測することはとても困難である。気象予報は少し前まで科学というよりも占星術に近いものであった。科学とは認められていなかったものを、いかにして科学の範疇に収め、現代気象学へと昇華させたのか。本書では28人の科学者を中心にその歴史をわかりやすく語る。ある科学者は大がかりな実験をし、またある科学者は命を危険にさらしてまで大冒険をおこなった。科学者だけでなく政治家や軍隊の幹部も巻き込み、気象を解明するための大きなうねりができていった。その中で多くの発見がなされ、現代気象学の形が作られてきた。気象に挑み、波乱万丈に生きた科学者たちの生き様とその業績を知ることは、気象の身近さと難しさのギャップを埋める一助となるだろう。
目次
第一部 生まれたばかりの幼子
1 ベンジャミン・フランクリン≪風を追う≫
2 ルーク・ハワード≪雲を命名する≫
3 ジェームス・グレイシャー≪空に赴く≫
第二部 アメリカの嵐
4 ウィリアム・レッドフィールド≪痕跡を歩く≫
5 ジェームズ・P・エスピー≪嵐の養育家≫
6 エリアス・ルーミス≪嵐を形にする≫
7 ヨゼフ・ヘンリー≪舞台の支度≫
8 マシュー・フォンテーン・モーリー≪論争の嵐≫
9 ウィリアム・フェレル≪シャイな天才≫
第三部 大きな流れ
10 ロバート・フィッツロイ≪報われなかった先覚者≫
11 ユルバン・J・J・ルヴェリエ≪クリミアを覆う雲≫
12 クリーブランド・アッベ≪古びた予報屋≫
13 ジョン・P・フィンレー≪竜巻の裏通り≫
14 マーク・W・ハリントン≪民間人の犠牲者≫
15 アイザック・モンロー・クライン≪ガルヴェストンへの嵐の襲来≫
16 ギルバート・ウォーカー≪南方振動の発見≫
17 ルロイ・メイジンガー≪果敢な死≫
第四部 前線とともに
18 ウィルヘルム・ビヤクネス≪ベルゲン学派の指導者≫
19 ルイス・フライ・リチャードソン≪予報工場≫
20 ヤコブ・ビヤクネス≪寒帯前線からエルニーニョまで≫
21 トル・ベルジェロン≪天与の洞察力≫
22 カール=グスターフ・ロスビー≪気象局を征服する≫
23 セヴィール・ペターセン≪Dデイの予報≫
第五部 新たな科学への急展開
24 ジュール・グレゴリー・チャーニー≪数学を制する≫
25 ジェローム・ナマイアス≪季節予報の予報官≫
26 エドワード・N・ローレンツ≪カオスを計算する≫
27 テツヤ・テオドール・フジタ≪ダウンバーストを見抜く≫
28 アンツ・リートマ≪一線を超えて≫
関連商品
▼ 関連記事
- 【来る夏、その前には梅雨】気象のしくみを知る本特集2021.06.08
- 【書店・生協様向け】特選 気象をたのしむ本2021.05.27
- 【書店・生協様向け】おすすめ自然科学書!サイエンスへの招待状(地学の間)2021.02.01