内容紹介
厚生労働副大臣の立場で東日本大震災に遭遇し、被災者の救助・救援、医療支援等に従事し、さらに、深刻な原発事故が発生したことから、放射性物質に関する食品規制や健康影響への対応・対策を担ってきた当事者の貴重な記録。 厚労省が導入した食品の放射性物質暫定規制の当否は、後世の評価に委ねなければならないが、そのためにも記録として残すべきと考えた事柄を書き起こした。 第一章から第三章で食品の放射性物質に関する暫定規制導入の経緯を中心に,震災対応の記録と記憶を整理している。第四章は食品規制や健康影響を考えるうえでの基礎となる科学的情報、第五章は放射性物質や原子力に関する基本知識をまとめている。
目次
一章 東日本大震災と福島第一原子力発電所事故
厚生労働省副大臣室
災害救助法担当
1号機爆発で脳裏をよぎった放射能汚染
計画停電への対応
二章 暫定規制と出荷制限
暫定規制導入
米国の五〇マイル規制(三月一七日未明)
ICRP委員長公開書簡(三月二一日)
食品検査と出荷制限
三章 科学の信頼と日本の未来
リスクコミュニケーション
ハイケアの「〇・〇四%」
労災認定基準の「五・二mSv」
内部被曝量の「五三一Bq」
ラジウムの「三・三五μSv」
NIMBYシンドローム
日本の未来
四章 暫定規制の考え方と新規制
原子力安全委員会の平成一〇年報告書
四月一日の資料
低線量被曝の影響
暫定規制見直し(四月からの新規制)
五章 放射性物質との対峙
放射性物質とは何か
原子力の発見と原爆実験
環境放射線被曝
原子力政策
付表1 水道水摂取制限履歴
付表2 食品中の放射性物質に関する暫定規制についての厚労省対応履歴