科学者の発表倫理

科学者の発表倫理

不正のない論文発表を考える
著者名 山崎 茂明
発行元 丸善出版
発行年月日 2013年06月
判型 A5 210×148
ページ数 164ページ
ISBN 978-4-621-08654-4
Cコード 3040
NDCコード 407
ジャンル 科学一般 >  科学論文・プレゼン

内容紹介

これまでは研究論文における倫理はそれぞれの研究者の倫理観に任されてきたが、近年、研究者の置かれる立場、ひとつの研究に携わる人数が増えたことなどにより、個人による倫理観だけでは対応できない場面も生じている。本書「科学者の発表倫理」は、公正な論文発表を目指す人々のための執筆ガイドとして、論文発表における不正行為(ミスコンダクト)の実態と影響を可視化して、ミスコンダクトは当事者の問題、研究者間の問題にとどまらないことを、具体例をあげながら解説。

目次

第1部 情報爆発への警告―論文における倫理とは?―
 1.不正行為から発表倫理へ
  1.1 ジョージタウン大学で
  1.2 はじまりは情報爆発から
  1.3 情報爆発から発表倫理へ
  1.4 新たに発生した問題
  1.5 発表倫理へのプライスの指摘
 2.生物医学雑誌への統一投稿規程の誕生
  2.1 バンクーバーへ
  2.2 最初の会合場所は
  2.3 ヒュース博士へのメール
  2.4 誕生のエピソード
  2.5 初期の問題
  2.6 普通の声に耳を傾ける
 3.必要な重複発表
  3.1 リーズ城での会議
  3.2 1982年の第2版と1984年の生命
  3.3 重複出版の現状をPubMedから見る
  3.4 重複出版論文の掲載誌に特徴はあるのか
  3.5 重複投稿を推奨する?
  3.6 新たな課題の明確化
第2部 論文の真の執筆者は誰か―責任は誰に―
 4.イグ・ノーベル賞にみるオーサーシップ
  4.1 オーサーシップとは?
  4.2 論文発表から見たオーサーシップ
  4.3 イグ・ノーベル文学賞,多数著者と多産な著者
  4.4 オーサーシップの定義
  4.5 ノッティンガム会議での新提案
  4.6 オーサーシップをめぐる日本の状況
 5.ゴースト・オーサーシップの実態
  5.1 歴史のなかのゴースト・ライティング
  5.2 ゴーストからの誘い
  5.3 ゴースト・オーサーシップの実態
  5.4 定義を考える
  5.5 臨床試験結果の発表
 6.コレスポンディング・オーサーの役割
  6.1 コレスポンティング・オーサーの役割
  6.2 論文ねつ造事件から問われたコレスポンティング・オーサー
  6.3 コレスポンティング・オーサーは何番目の著者か?
  6.4 統一投稿規程でどのように取りあげられているのか
  6.5 Nature Journalsが求めるコレスポンティング・オーサーの責務
 7.オーサーシップのグローバル化
  7.1 研究活動にけるグローバリゼーションの進行
  7.2 国際共著論文の増大
  7.3 国際共著関係マップ
  7.4 日本の国際共著リンク国の変化
  7.5 論文の生産数変化と国際共著関係
第3部 公正さを欠く論文評価/
 8.レフェリー・システムの限界
  8.1 日本医学雑誌編集者会議で
  8.2 編集者の積極性
  8.3 諸刃の剣
  8.4 Open peer reviewの提案
  8.5 親展文書と先取権競争への対応
  8.6 フィルターとしてのコレスポンデンス欄
  8.7 レフェリー・システムの改善へむけて
 9.ネガティブな研究結果は好まれない
  9.1 19世紀末の米国で
  9.2 論文発表から見た出発バイアス
  9.3 統一投稿規程とMeSHの定義
  9.4 出版バイアス問題に気付いた人々
  9.5 臨床試験と企業資金
  9.6 公共における知識の生産
第4部 扱い基準のない撤回論文―実例で見る不正行為のボーダーラインは―
 10 撤回声明から懸念表明へ
  10.1 研究知見の撤回声明
  10.2 不正は不幸なできごとか?
  10.3 契機としてのスラツキー事件
  10.4 米国国立医学図書館の対応
  10.5 撤回論文と撤回公告の現状
  10.6 撤回措置の難しさと懸念表明
 11.日本論文検索サイト医中誌Webから見た撤回
  11.1 データベースの品質管理
  11.2 医中誌Webから撤回論文を検索する
  11.3 撤回の理由
  11.4 撤回記事は誰の名で記載されているか
  11.5 海外からの不正論文投稿
  11.6 エラータで良いのか
  11.7 求められること
 12. 米国の論文検索サイトPubMedから見た日本の撤回
  12.1 論文の撤回
  12.2 調査をどのように行ったのか
  12.3 撤回論文数をめぐって
  12.4 撤回理由
  12.5 撤回論文掲載誌と発表機関の特徴
  12.6 撤回理由を比較する
第5部 生き残るために―公正な研究・論文に必要なことは?―
 13.利益相反(COI)と産学連携
  13.1 学術研究の市場化
  13.2 科学政策と研究資金の変化
  13.3 バイ・ドール法と産学連携
  13.4 資金源から見た米国の生物医学研究
  13.5 日本の国立大学における外部資金獲得
  13.6 Conflict of Interestの意味
  13.7 論文数から見た利益相反
  13.8 発表倫理からのアプローチ
 14.インパクトファクターから読む学術雑誌出版
  14.1 インパクトファクター
  14.2 世界と日本の雑誌のIF値を見る
  14.3 日本誌は10年間にどう変化したか
  14.4 中国,韓国,シンガポール,インド,オーストラリアとの比較
  14.5 IF値分布から見たエルゼビア,シュプリンガー,NPG社
 15.研究公正局(ORI)の役割
  15.1 研究公正局への道
  15.2 80年代のボルチモア・イマニシ=カリ事件
  15.3 研究公正局の形成と活動
  15.4 研究公正局から編集者へ
  15.5 不正論文に気づいたら
  15.6 訂正と撤回を知らせる

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