海から生まれた毒と薬

海から生まれた毒と薬

著者名 Anthony T. Tu
比嘉 辰雄
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年04月
判型 A5 210×148
ページ数 144ページ
ISBN 978-4-621-08598-1
Cコード 3040
ジャンル 科学一般 >  科学読み物
医学・薬学 >  薬学

内容紹介

自然界にはさまざまな毒があり、天然由来の薬があるが、本書では、海洋生物に焦点をあてて、海産の毒、海洋生物由来の薬や、毒の研究から発展してきた薬の研究、さらに海藻由来の天然物質やDHAをはじめとする健康食品について紹介する。 フグ毒テトロドトキシン、海ヘビやイソギンチャク、クラゲなどのタンパク毒など、海洋生物の持つ毒は特異で、強力な毒が多いことがわかり、毒性学、生理学、薬理学、生化学、有機化学などさまざまな分野の科学者の関心を引いている。一方、毒と不可分の関係にある薬についても、ナマコからの水虫薬、ホヤや海綿から生まれた抗がん剤、その他の健康食品などを紹介する。

目次

1 毒のしくみと薬のしくみ
 1・1 毒のしくみ
 1・2 薬のしくみ
 1・3 海からの薬
2 多くの海産毒の源泉は藻
 2・1 シガトキシン
 2・2 麻痺性貝毒
 2・3 下痢性貝毒と記憶喪失性貝毒
3 赤潮はどうしておきるか
 3・1 歴史の中の赤潮
 3・2 赤潮の原因
 3・3 赤潮の毒
 3・4 毒の作用
4 フグ毒と海蛇毒作用の比較
 4・1 フグ毒はどこから来たのか
 4・2 無毒フグの養殖
 4・3 テトロドトキシンと海蛇神経毒の作用
5 魚の刺毒
 5・1 毒ヒレ
 5・2 毒器官,毒背ビレの例
 5・3 毒性学
 5・4 治療および対症療法
 5・5 毒性分の性質
6 刺されると痛いクラゲやイソギンチャク
 6・1 刺胞動物の生物学
 6・2 毒器官
 6・3 毒性学
 6・4 治療
 6・5 成分
7 魚の腐敗とアレルギー症
 7・1 腐敗
 7・2 魚貝類によるアレルギー症
8 海産毒からの薬――その原理
 8.1 コノトキシン
 8.2 その他の海産毒より
9 駆虫薬海人草と興奮毒性物質
 9.1 回虫症
 9・2 駆虫薬として用いられた海藻類
 9・3 カイニン酸
 9・4 ドウモイ酸と記憶喪失性貝中毒
 9・5 興奮毒性アミノ酸
10 ナマコからの水虫薬
 10.1 水虫
 10.2 真菌と細菌
 10.3 抗真菌薬
 10.4 抗かび物質ホロトキシン
 10.5 棘皮動物とサポニン
11 海綿由来の特異なヌクレオシドと抗ウイルス薬
 11.1 ウイルス
 11.2 ヌクレオシド
 11.3 特異なヌクレオシドの発見
 11.4 ヌクレオシド系抗ウイルス薬
12 カリブ海産ホヤからの抗がん剤
 12.1 Rinehartと海からの薬
 12.2 エクチナシジン類の発見
 12.3 ホヤの養殖によりEt743の生産
 12.4 合成によるEt743の生産
13 日本産海綿から生まれた抗がん剤
 13.1 オカダ酸の発見
 13.2 ハリコンドリン類の発見
 13.3 ハリコンドリンBの抗腫瘍活性
 13.4 ハリコンドリンBの探索
 13.5 抗がん剤エリブリンの開発
14 魚油からの抗動脈硬化症・高脂血症薬
 14.1 多価不飽和脂肪酸
 14.2 EPA
 14.3 医薬品イコサペント酸エチル
 14.4 DHA
15 海産健康食品
 15・1 生活習慣病と健康食品
 15・2 カロテノイド
 15・3 海産多糖類
付録 スパイ戦や生物兵器に使われる海産毒
 A・1 スパイ戦と毒
 A・2 毒素兵器

定価:2,530円
(本体2,300円+税10%)
在庫:在庫あり

▼ 補足資料