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【書評】教育現場のための安全な化学実験と事故事例〔日本化学会元会長 玉尾 皓平〕

『教育現場のための安全な化学実験と事故事例』は、安全な化学実験に必要な基礎知識と事故事例を網羅した、高校化学教員をはじめとした化学教育にたずさわる方必備の一冊です。

この度、豊田理化学研究所所長・日本化学会元会長の玉尾 皓平 先生による書評を掲載させていただきます。

 

 

教育現場のための安全な化学実験と事故事例

鈴木 仁美 著 定価4,950円(本体4,500円+税10%) A5判・並製・434頁

 

 化学の実験に事故はつきものです。これは化学の研究に携わる者は常に心に留めておかなければなりません。筆者も修士1年の時に、過塩素酸銀を使う実験中に大きな爆発を経験しました。ガラス製の三ツ口フラスコの破片を両手、顔面に受け、多くのガラス片が今も体内に残っており、30数年後に、2,3ミリのガラス片が出てきたこともあります。幸い、恩師から、「危ないので保護メガネを掛けて実験するように」と言われて保護メガネを掛けていたために、メガネは壊れましたが、両目とも無傷でした。恩師からの助言が無ければ、両眼を失明していたかもしれません。

 教育現場、研究現場での指導者がいかに多くの事故例を知っているか、そしてそれをいかに的確につたえるかが、若い学生や研究者を事故から守る決め手だということを実体験から学びました。

 『教育現場のための安全な化学実験と事故事例』は、まさにそのような教育現場、研究現場での指導者のために書かれた手引書です。鈴木仁美先生は京大退官後に『化学実験の事故事例・事故防止ハンドブック』も編纂された、化学事故関連の第一人者です。その膨大な情報を基に、本書では、300件以上の事例を、「事故例」「危険例」「注意例」「事件例」の4種に分けて化学の基礎知識から紐解いており、なぜ事故につながったのかを反応別に分子レベルで充実した解説がなされているので、教育現場の指導者には必携・必読の書といえましょう。それと共に、若い学生たちや企業の研究・製造現場でも手の届くところに常備すべき参考書としても推薦します。

 なお、これだけの膨大な事例は、国のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に合わせて、電子化・データベース化して、化学事故防止DXシステムに繋がっていくことにも期待をしたいと思います。 

〔豊田理化学研究所所長・日本化学会元会長 玉尾 皓平〕

 

 

*こちらの書評は「化学と教育」6月号に掲載されます。

  

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