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65年以上読み継がれる超ロングセラー

あらゆる場面の問題解決に応用できる不朽の名著が、2022年春生まれ変わります!

『いかにして問題をとくか』とは?



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原書は1945年、翻訳版は1954年に刊行され、
世界的に半世紀以上に渡って読み継がれてきた不朽の名著。

「未知の問題に出会った場合どのように考えたらよいか。」
数学書という位置づけながら、その内容は
日常生活や仕事上のあらゆる場面に応用できる
今後50年、100年と古びることはない
問題解決につながる考え方の基本を説いています。

それらは今でも、
知識中心から課題解決型の学習へ変革する学校教育において、
ヒューリスティックや論理的思考法が求められるプログラミング教育において、
課題解決のためのプロセス構築力が試されるビジネスの現場において
など、多くの場面で学びを与え続けています。

これまで本書は、翻訳版の刊行当初から引き継がれてきた
味わいのある活版の文字を生かして重版を続けてまいりました。
そのため、現代ではあまり使われていない字体などが残っていることは否めませんでした。

そこでこのたび、これからの時代を担う若者や彼らを育てる教員、
持続可能な社会の実現に向けた課題解決に立ち向かう
ビジネスパーソン、エンジニア、プログラマー、デザイナーなど
多くの方々にこの名著に触れ続けていただくために、
この度、内容はそのままに、仮名遣いや旧字体を修正し、
読みやすく時代に即し生まれ変わりました。

また、電子書籍版もリニューアル版をもとに発売し、あらゆるシーンに対応できるようにいたします。
めまぐるしく変化していく社会の中でも、ぶれることのない問題解決の定番本として、これからもこの名著を読み継いでいただけるよう、丸善出版は時代に合わせた刷新を続けて参ります。



『いかにして問題をとくか』

原書名:How to Solve It A New Aspect of Mathematical Method

G.ポリア 著  柿内 賢信 訳

定価:1,650円(税込)

B6判・262頁 ISBN:978-4-621-04593-0

※令和4年3月25日 第11版59刷発行分より紙面をリニューアルしております。

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※リニューアルに伴い、旧バージョンから形式を切り替えて販売しております。


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原著者G.ポリアのことば



日本語版への序文


 この日本語訳は《How to Solve It》の英文原著の第5版に基づくものである.このような翻訳は非常な労力と多大の同情ある理解なしにはなし難いことである.所々にあらわれる諧謔やパズルは翻訳できないものであり,似通った他の表現でおきかえられなければならない.また場合によっては翻訳というより造りかえが必要なところもある.アルファベットの順にしてもほとんど全部の入れかえをしなければならない.日英両国語のへだたりは翻訳をいっそうむずかしいものにしたに相違ない.

著者は翻訳という骨の折れる,面白くない仕事を引受けられた柿内博士に大変お世話になった.しかしそのような仕事は必ずや報いられるであろう.もしもこの訳書が日本の学生や教師の方々によまれ,若い人たちが数学に対する興味と才能を発見する助けとなるならば,それこそこの上もない報酬というべきであろう.

1954年1月 チューリッヒにて

G.Polya






はしがき


 大きな発見は大きな問題をとくことができるが,どんな問題をとくことのうちにも小さな発見の芽生えは必ずあるものである.読者がとこうとする問題はそれがたとえささやかなものであっても,もしもそれが読者の好奇心をそそり,ねむっている発明の才能を目覚めさせるものであれば,またもし読者が自分の力で首尾よくそれをときえたならば,それは異常な緊張と発明の喜びをもたらすであろう.若くて感じやすい年頃にそのような経験をしておくことは精神的な仕事に対する興味を湧立たせ,生涯にわたって心のうちに深い印象を残すことになるであろう.

このようなわけで数学の教師はこの上もない機会に恵まれている.もしも彼が授業時間にきまりきったやり方で詰め込もうとするならば,それは学生の興味を失わせ,彼らの知能の発達をにぶらせてしまい,せっかくの機会を取逃すことであろう.しかし反対にもしも教師が学生の知識にふさわしい問題を与えて興味をそそり,適当な質問によって問題をとく手助けをしてやるならば,学生に自分自身でものを考える意欲と方法とを与えることができるであろう.

また大学の課程において数学を学ぶ学生もまた,この上もないよい機会に恵まれている.しかし彼が数学を単に資格を得るために学ぼうと思ったり,試験が済んだらばできるだけ早く忘れてしまおうと思ったりしては,その機会を失ってしまうことはもちろんである.たとえ学生が数学に対する多少の天分をもっていたとしても,自分にその才能があり,数学が好きになれるということを発見しなければだめである.ラスベリイのパイを食べたことがなければ,それが好きかどうかはわからないからである.彼は数学の問題をクロスワード・パズルなどのように面白いものだと思ったり,あるいはまた激しい精神の燃焼作用をテニスのゲームのようなものだと感ずるかもしれない.ひとたび数学の楽しみを味わうならば,それは容易に忘れがたいものとなり,楽しみにせよ,あるいは職業の助けとなるにせよ,あるいはまた職業それ自身であり,大きな野心の目標となるにせよ,とにかく彼にとって何か意味のあるものとなるに違いない.

 著者は自分が学生であったときのことをよく思い出す.著者は幾分の野心をもって数学と物理とを熱心に学ぼうと思っていた.そうして講義を聞いたり本をよんで,問題をといたりそこにかいてある事柄を理解しようと努めた.しかし,絶えず次のような疑問が繰返し繰返しできては考えをさまたげるのであった.

 《この解法はうまくて間違いがないように見えるけれども,どうしたらそれを思いつくことができるだろうか.この実験はうまくて事実を示すように思われるが,どうしたらそれが発見できたであろうか.どうしたら私は自分でそれを思いついたり発見したりできるであろうか.》著者は今では大学で数学を教えている.彼は熱心な学生たちが同じような疑問をもっていると考え,またそうあることを望んでいて,彼らの好奇心を満足させるように努力しつつある.いろいろな問題の解だけではなく,その動機や手続きを理解しようとし,またそれを他人に説明しようと試みて,著者はこの本をかくことにしたのである.著者の願いは,学生に問題をとく能力を与えようと望む教師と,自分自身の能力を熱心に培おうとする学生諸君のために役立とうとすることであった.
 この本は数学の教師と学生とを目標としてかかれたものであるが,新しいことを見つけ出すことに興味をもつ人達ならば誰にでも役に立つであろう.そのような興味はちょっと考えただけではそれほど一般的なものではないように見えるかもしれないが,実はそうではない.新聞や雑誌がクロスワード・パズルや各種のクイズにさく紙面から考えても,人々は実用にならない問題をとくのに時間をつぶすことを案外好むように思われる.実際の役に立たない問題をとこうとする欲望の背後には,とくための方法と手段,あるいは動機や手続きを理解しようとする欲望と,深い好奇心とがうかがわれる.

この本はできるだけ簡単に,問題の筋道を述べたものであるが,それはしかし長い間の真面目な研究に基づくものである.しばしば発見的(heuristic)とよばれるこの種の研究は今日ではあまりはやらないが,その過去は長いものであり,また幾分の将来性があるものといえよう.
 問題をとく方法を研究することによってわれわれは数学のもう1つの別の側面を知ることができる.即ち数学は2つの面をもっていてその1つはユークリッド以来の厳密な科学であるが,それはまた同時に,たしかにそれとは違った何か別のものでもある.ユークリッドの仕方で表現される数学は,系統的な演繹的科学である.しかしながらでき上りつつある数学は実験的な帰納的科学である.この2つの観点は数学の歴史と共に古いものであるが,第2の観点は次のような新しさをもっている.即ち,つくられつつある過程における数学は,学生にも教師にも,また一般大衆にもいまだかつてこのような形で示されたことはなかったということである.
 発見的研究の問題は関連するところが非常に多く,数学者,論理学者,心理学者,教育学者,さらには哲学者さえもがこれはそれぞれ自分たちの領域に属する問題であると主張するであろう.著者は多くの反対者からの批判を十分覚悟しているし,自分の能力の限界もよく承知しているけれども,彼は問題をとくことに関しては相当の経験をもち,いろいろの程度の数学を教授した経験があることを付け加えておく.
 ここで取り上げた問題は著者が完成しつつあるもっと大部な書物の中で,もっとくわしく取り扱われるはずである.
著者はこのような幾分不慣れな問題と取り組んできた長い年月の間,あらゆる種類の援助と教示とを与えられた友人と同僚とに感謝しなければならない.この本のリストは著者の意に充たないものであるが,もっと完全なリストはあまり長くなるので上述の書物にゆずることにした.著者はプリンストン大学出版部主任のMr. DatusC. Smith と編集のMiss GladyoFornellの有益かつ理解ある助力に対して感謝を捧げる.

1944年8月1日 スタンフォード大学にて

G.Polya




ジョージ・ポリア(George Pólya)

1887年,ハンガリー,ブダペスト生まれ. ブダペスト大学などで学ぶ.アメリカ合衆国に亡命後,ブラウン大学を経て,スタンフォード大学教授(1946年-1953年).複素解析,級数論,数論,組合せ論など,幅広い分野で業績を残す.また,数学の普及にも力を注いだ.1985年,アメリカ合衆国パロ・アルトにて没.


問題解決への4つのステップ





第1に
問題を理解しなければならない.

問題を理解すること




◇未知のものは何か.与えられているもの(データ)は何か.条件は何か.

◇条件を満足させうるか.条件は未知のものを定めるのに十分であるか.または不十分であるか.または余剰であるか.または矛盾しているか.

◇図をかけ.適当な記号を導入せよ.

◇条件の各部を分離せよ.それをかき表わすことができるか.






第2に
データと未知のものとの関連を見つけなければならない.
関連がすぐにわからなければ補助問題を考えなければならない.
そうして解答の計画をたてなければならない.

計画を立てること




◇前にそれを見たことがないか.または同じ問題を少し違った形で見たことがあるか.

◇似た問題を知っているか.役に立つ定理を知っているか.

◇未知のものをよく見よ!そうして未知のものが同じかまたはよく似ている,見なれた問題を思い起せ.

◇似た問題ですでにといたことのある問題がここにある.それを使うことができないか.その結果を使うことができないか.その方法を使うことができないか.それを利用するためには,何か補助要素を導入すべきではないか.

◇問題をいい変えることができるか.それを違ったいい方をすることができないか.定義にかえれ.

◇もしも与えられた問題がとけなかったならば,何かこれと関連した問題をとこうとせよ.もっとやさしくてこれと似た問題は考えられないか.もっと一般的な問題は?もっと特殊な問題は?類推的な問題は?問題の一部分をとくことができるか.条件の一部を残し,他を捨てよ.そうすればどの程度まで未知のものが定まり,どの範囲で変りうるか.データを役立たせうるか.未知のものを定めるのに適当な他のデータを考えることができるか.未知のものもしくはデータ,あるいは必要ならば,その両方を変えることができるか.そうして新しい未知のものと,新しいデータとが,もっと互いに近くなるようにできないか.

◇データをすべて使ったか.条件のすべてを使ったか.問題に含まれる本質的な概念はすべて考慮したか.






第3に
計画を実行せよ.

計画を実行すること




◇解答の計画を実行するときに,各段階を検討せよ.その段階が正しいことをはっきりとみとめられるか






第4に
得られた答えを検討せよ.

ふり返ってみること




◇結果を試すことができるか.議論を試すことができるか.

◇結果を違った仕方で導くことができるか.それを一目のうちに捉えることができるか.

◇他の問題にその結果や方法を応用することができるか.






推薦のことば



ジョージ・ポリアの『いかにして問題をとくか(How to Solve It)』は、原著初版発行が1945年であるにもかかわらず、今も数学・哲学・教育学の世界で輝き続ける古典的名著である。一流の数学者ポリアは、本書で史上初めて「数学の問題を解くとはどのようなことか?」を解明した。誰にも解けない問題を簡単に解く天才がいる。なぜ解けるのか。ポリアが注目したのは「ヒューリスティクス」あるいは「発見的手法」と呼ばれる概念である。演繹的な数学の背景に、実は帰納的なパターン化、アナロジーや逆方向推論などが潜んでいた。その意味で、本書は機械学習や人工知能論、認知科学にも大きな影響を与えている。現代人の「論理的思考法」の基盤となる必読書である。



高橋昌一郎(論理学・科学哲学者、國學院大學教授)

ミシガン大学大学院哲学研究科修了。著書は『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『フォン・ノイマンの哲学』『ゲーデルの哲学』『20世紀論争史』『自己分析論』『反オカルト論』『愛の論理学』『東大生の論理』『小林秀雄の哲学』『哲学ディベート』など多数。


人工知能と共存するために、
人類は深く考える癖をつけなくてはいけない。そのヒントがここに。



竹内 薫(サイエンス作家)

東京大学教養学部教養学科・同理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了。サイエンスの伝道師として、物理や数学を中心に150冊あまリの著作物を発刊。2016年、子どもたちにとって本当に必要な敬育ができるように、との思いから、 YES International Schoolを設立。


この本で扱われている「問題」とは、普く、人の営み全般に関わるものだ。いつの時代も、問題解決の方法論は人々の関心を惹く。それは数学のような厳格さと、捉えきれない気まぐれさを兼ね備えた、人間らしい探究だ。「発見学」と呼ばれるその領域で、著者は大胆に、自由に、にぎやかに、それでいて単純明快に、私たちを導く。それは彼の数学者としての経験と、問題解決に対する長年の切実な関心と洞察に裏づけられている。そして、彼の思惑どおり、私たちは自分ごととして惹きつけられる。いま目の前にある問題と、そして自分自身と、全身で向き合ってみよう、という気にさせられる。



鈴木咲衣(数学者、東京工業大学准教授)

2014-2017年度 京都大学 白眉センター特定助教。2018年度より東京工業大学情報理工学院准教授。結び目理論、量子トポロジーを研究。NHK Eテレ「又吉直樹のヘウレーカ!」に出演するなどアウトリーチ活動にも力を注いでいる。


世界は複雑で、未来は見通せない。

解いたこともない難問が今日も行く手に立ちはだかる。それでも我々には「いか問」がある!



読書猿(作家)

大ベストセラー『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社)著者。ブログ「読書猿Classic:between/beyond readers」主宰。古典から新刊まであらゆる知を独自の視点で紹介し、人気を博している。


学生の頃に読んで学力が向上し、予備校講師のときに読んで教える力が身に付き、大人になったいま読んで、この本が数学に限らず日常で起こるあらゆる問題の解決に役立つと気が付いた。これから先も、読むたびに新しい発見があるのだろうと思わせる名著。



ヨビノリたくみ(教育系・理系YouTuber)

登録者数87万人を超える、予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」(略称:ヨビノリ)にて授業動画を配信している。元学術振興会特別研究員(DC1)。元予備校講師。人気動画「中学数学からはじめる相対性理論」動画は1900万回再生を超える。


「どうやって解法を思いつくのか?」 ― 数学の問題を解くとき、このような問いに直面することは多いでしょう。ここで必要になる思考力は、数学だけでなく、プログラミングやアルゴリズムでも欠かせない大切な能力です。しかし、思考力を身に付けるのは難しいことではありません。学校では教えてくれない「思考の王道」を身に付けたい、高校生や大学生の皆さん、ぜひ本書をお読みください。

米田優峻(国際情報オリンピック金メダリスト)

2002年生まれ。2021年、筑波大学附属駒場高等学校を卒業し、現在東京大学に所属。2020年までに国際情報オリンピック(IOI)で金メダルを三度獲得。ベストセラー『問題解決のための「アルゴリズム×数学」が基礎からしっかり身につく本』(技術評論社)著者。


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関連書籍



『いかにして問題をとくか 実践活用編』

芳沢 光雄 著

定価:1,540円(税込)

B6判・194頁 ISBN:978-4-621-08529-5

1954年に初版を刊行してから半世紀以上、数学的思考法の指南書として愛され読み継がれてきたポリアの『いかにして問題をとくか』——その内容は、今でもさまざまな問題解決に活用できる不変的ヒントに満ちている。 本書は、その名著「いかにして問題をとくか」の具体的活用本として、「日常生活にたとえると」、「実際には(ビジネスなどで)どう活用できるのか」という視点から、数多くの身近な問題を取りあげながら解説していく。 ポリアの「いか問」を読んで挫折した人へ、これからポリアを読もうとしている人へ、お薦めの一冊。


『数学×思考=ざっくりと いかにして問題をとくか』

竹内 薫 著

定価:1,430円(税込)

B6判・186頁 ISBN:978-4-621-08819-7

発想を転換して、まずは「ざっくり」と考えてみると、意外に道が開けてくるもの。 本書では、ポリア「いかにして問題をとくか」の発想法にヒントを得て、どんな読者でもよく理解できるよう、平易な語り口で日常生活や仕事上の問題を解決する方法を伝授する。

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