東京大学 工学の知の指針を示す 東京大学工学教程

シリーズの特徴

東京大学工学部・工学系研究科のスタンダードとして何を教えるか,学生は何を知っておくべきかを示し,教育の根幹を作り上げる.

専門が進んでいくと改めて,新しい基礎科目の勉強が必要になることがある.そのときに立ち戻ることができる教科書になる.

基礎科目においても,工学部的な視点による解説を盛り込むことにより,常に工学への展開を意識した基礎科目の学習が可能となる.

刊行の趣旨

 現代の工学は,基礎基盤工学の学問領域と,特定のシステムや対象を取り扱う総合工学という学問領域から構成される.学際領域や複合領域は,学問の領域が伝統的な一つの基礎基盤ディシプリンに収まらずに複数の学問領域が融合したり,複合してできる新たな学問領域であり,一度確立した学際領域や複合領域は自立して総合工学として発展していく場合もある.さらに,学際化や複合化はいまや基礎基盤工学の中でも先端研究においてますます進んでいる.

 このような状況は,工学におけるさまざまな課題も生み出している.総合工学における研究対象は次第に大きくなり,経済,医学や社会とも連携して巨大複雑系社会システムまで発展し,その結果,内包する学問領域が大きくなり研究分野として自己完結する傾向から,基礎基盤工学との連携が疎かになる傾向がある.基礎基盤工学においては,限られた時間の中で,伝統的なディシプリンに立脚した確固たる工学教育と,急速に学際化と複合化を続ける先端工学研究をいかにしてつないでいくかという課題は,世界のトップ工学校に共通した教育課題といえる.また,研究最前線における現代的な研究方法論を学ばせる教育も,確固とした工学知の前提がなければ成立しない.工学の高等教育における二面性ともいえ,いずれを欠いても工学の高等教育は成立しない.

 一方,大学の国際化は当たり前のように進んでいる.東京大学においても工学の分野では大学院学生の四分の一は留学生であり,今後は学部学生の留学生比率もますます高まるであろうし,若年層人口が減少する中,わが国が確保すべき高度科学技術人材を海外に求めることもいよいよ本格化するであろう.工学の教育現場における国際化が急速に進むことは明らかである.そのような中,本学が教授すべき工学知を確固たる教程として示すことは国内に限らず,広く世界にも向けられるべきである.

 現代の工学を取り巻く状況を踏まえ,東京大学工学部・工学系研究科は,工学の基礎基盤を整え,科学技術先進国のトップの工学部・工学系研究科として学生が学び,かつ教員が教授するための指標を確固たるものとすることを目的として,時代に左右されない工学基礎知識を体系的に本工学教程としてとりまとめた.本工学教程は,東京大学工学部・工学系研究科のディシプリンの提示と教授指針の明示化であり,基礎(2年生後半から3年生を対象),専門基礎(4年生から大学院修士課程を対象),専門(大学院修士課程を対象)から構成される.したがって,工学教程は,博士課程教育の基盤形成に必要な工学知の徹底教育の指針でもある.工学教程の効用として次のことを期待している.

  • 東京大学工学部・工学系研究科のスタンダードとして何を教えるか,学生は何を知っておくべきかを示し,教育の根幹を作り上げる.
  • 専門が進んでいくと改めて,新しい基礎科目の勉強が必要になることがある.そのときに立ち戻ることができる教科書になる.
  • 基礎科目においても,工学部的な視点による解説を盛り込むことにより,常に工学への展開を意識した基礎科目の学習が可能となる.

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