内容紹介
「倫理的なビジネスの実現」、それは今後を生き残るための企業の最重要課題である。「ビジネス倫理」の最先端をいくアメリカの研究成果や事例を盛り込みながら、日本にあった「ビジネス倫理学」を体系化する。
目次
第I部 はじめに
第1章 ビジネスの倫理とは
二つの座標軸/ビジネス倫理の三つのレベル
第II部 理論としてのビジネス倫理
第2章 規範理論としての倫理
倫理学とは何か/規範とは/帰結主義と非帰結主義/帰結主義の立場/非帰結主義の立場/二つの事例
第3章 倫理的利己主義とリバータリアリズム
倫理的利己主義/倫理的利己主義と功利主義:その共通点――善悪の快楽説/倫理的利己主義:自己の利益の最大化/倫理的利己主義の評価
第4章 功利主義と費用・便益分析
功利主義:最大多数の最大幸福/フォード・ピント事件/成田空港の強行着工/功利主義の問題点
第5章 義務論
はじめに:カント哲学の位置付け/道徳型形而上学の企て/動機、義務、定言命法、良心の声/格律の不偏化可能性/人間性の原則/ブレント・スパーの処理をめぐるケース/カントの義務論の評価
第6章 正義論
ジョン・ロールズと『正義論』/配分上の正義/二つの原則/無知のヴェール/弱い立場にある人々への配慮/正義論の問題点
第III部 実践としてのビジネス倫理
第7章 議論のための倫理から実践の倫理へ――アリストテレスの徳倫理
実践としての倫理の方法:ケース・メソッド/ケース・メソッド型授業の方法
第8章 従業員関連の倫理
はじめに/ケース:覗き見の代償/討論/ケースのポイント
第9章 顧客関連の倫理
はじめに/ケース:シアーズ自動車センター/討論/ケースのポイント
第10章 地域社会の倫理
はじめに/ケース:ケーダイ商店街/討論/ケースのポイント
第11章 国際ビジネスの倫理
はじめに/ケース:バングラデシュにおけるリーヴァイス社/討論/ケースのポイント
第IV部 制度としてのビジネス倫理
第12章 企業内制度
はじめに/ビジネス倫理の制度化とは/企業内制度:コーポレート・ガヴァナンス的アプローチ/企業内制度:コンプライアンス型とヴァリュー・シェアリング型/企業倫理プログラムの実践
第13章 民間支援制度
ビジネス倫理の制度化としての民間支援制度/自治的アプローチ/評価的アプローチ/市場的アプローチ/教育的アプローチ/広報的アプローチ/市民運動的アプローチ
第14章 公的支援制度公的規制とビジネス倫理/立法を通じたアプローチ/行政による支援制度/司法的アプローチ/制度としてのビジネス倫理:今後の課題