エッセンシャル・キャンベル生物学 原書6版

エッセンシャル・キャンベル生物学 原書6版

原書名 Campbell Essential Biology 6th edition
著者名 池内 昌彦 監訳
伊藤 元己 監訳
箸本 春樹 監訳
発行元 丸善出版
発行年月日 2016年12月
判型 B5 257×182
ページ数 590ページ
ISBN 978-4-621-30099-2
Cコード 3045
NDCコード 460
ジャンル 生物・生命科学 >  生物一般

内容紹介

世界的な定番教科書『キャンベル生物学』のコンパクト版。フルカラーの美しい図や写真が満載で、高校生から読みこなせるよう丁寧に解説。細胞、遺伝学、進化と多様性、生態学の4部、全20章で構成。生化学の基礎からテクノロジーの最新知見、分子から進化・生態の分野まで、生物学のエッセンスが凝縮。「生物学と社会」「科学のプロセス」「進化との関連」といったコラムが充実。ヒトの病気や栄養の話題も豊富で、私たちの生活と結びつけて生物学を学べる。また、今版から5つの主題「進化」「構造と機能」「エネルギー変換」「情報の流れ」「システム内の相互連関」を柱に据え、生物を貫く視点から各章を読み解ける工夫が加えられた。セルフチェックや章末問題も充実、「データの解釈」問題を新設。初学者、高校生、生物学を専攻しない大学生の教科書・参考書として最適。生物学の重要な基本概念を理解し、自ら考える力を養うための助けとなる一冊。

目次

 1 序説:生物学の現在
  ●生物学と社会
   生命への生まれつきの愛着
  生命の科学的研究
   科学のプロセス/発見型科学/仮説検証型科学/科学における理論
  生命の本質
   生命の特徴/生命の多様なかたち
  生物学の主要なテーマ
   進化/構造と機能:構造と機能の関係/情報の流れ:情報の流れ/エネルギー変換/エネルギーと物質を変換する経路/システム内の相互連関:生命システム内の相互連関
第1部 細胞
 2 生命の化学 章のテーマ:放射能
  ●生物学と社会
   放射能と健康
  基礎の化学
    物質:元素と化合物/原子
  ●化学のプロセス
   放射性の追跡物質は脳の病気を診断できるか?
   化学結合と分子/化学反応
  水と生命
   構造と機能:水/酸,塩基とpH
  ●進化との関連
   進化の時計としての放射能   
 3 生命をつくる分子 章のテーマ:ラクトース不耐症
  ●生物学と社会
   ラクトースを摂取したか?
  有機化合物
   炭素の化学/小さな構成単位から巨大分子へ
  大型の生体分子
   炭水化物/脂質/タンパク質/核酸
  ●科学のプロセス
   ラクトース不耐症の遺伝的背景は何か?
  ●進化との関連
   人類のラクトース不耐症の進化
 4 細胞の旅 章のテーマ:人類対細菌
  ●生物学と社会
   抗生物質:細菌細胞を標的にする薬剤
  顕微鏡で見る細胞の世界
   細胞の2大別/真核細胞の概観
  膜の構造
   構造と機能:細胞膜
  ●科学のプロセス
   抗生物質耐性菌はどのようにして生じるか?
    細胞の表面
   核とリボソーム:細胞の遺伝的制御
    核/リボソーム/DNAはどのようにしてタンパク質合成を指令するか
   内膜系:細胞内でつくられた物質の加工と配送
    小胞体/ゴルジ装置/リソソーム/液胞
   エネルギー変換
    葉緑体/ミトコンドリア
   細胞骨格:細胞のかたちと運動
    細胞のかたちの維持/繊毛と鞭毛
  ●進化との関連
   ヒトにおける細菌感染症に対する耐性の進化
 5 細胞の活動 章のテーマ:ナノテクノロジー
  ●生物学と社会
   細胞構造の利用
  基本的なエネルギーの概念
   エネルギー保存の法則/熱/化学エネルギー/食物のカロリー
  エネルギー変換:ATPと細胞の仕事
   ATPの構造/リン酸の転移/ATPサイクル
  酵素
   活性化エネルギー
  ●科学のプロセス
   酵素は操作できるか?
    構造と機能:酵素活性/酵素阻害剤
  膜の機能
   受動輸送:膜を介した拡散/浸透と水のバランス/能動輸送:膜を介した分子のポンプ/エキソサイトーシスとエンドサイトーシス:大きな分子の輸送
  ●進化との関連
   膜の起源 
 6 細胞呼吸:栄養物からのエネルギーの獲得 章のテーマ:運動科学
 ●生物学と社会
  筋肉から最大限を引き出す
 生態系におけるエネルギーの流れと化学的循環
  生産者と消費者/光合成と細胞呼吸の間の物質循環
 細胞呼吸:栄養物のエネルギーを好気的に取り出す
  エネルギー変換:細胞呼吸の概観/細胞呼吸の3段階/細胞呼吸によってもたらされること
 発酵:栄養物のエネルギーを嫌気的に取り出す
 ヒトの筋細胞における発酵
 ●科学のプロセス
  筋肉の「ほてり」を引き起こすのは何か?
 微生物における発酵
 ●進化との関連
  酵素の重要性    
 7 光合成:光を利用して栄養物をつくる 章のテーマ:バイオ燃料
 ●生物学と社会
   増加する廃油窃盗犯罪
  光合成の基礎
   葉緑体:光合成の場/エネルギー変換:光合成の概観
  明反応:太陽エネルギーを化学エネルギーに変換する
   太陽光の性質
  ●科学のプロセス
   何色の光が光合成をおこなわせるか?
   葉緑体の色素/光化学系が光エネルギーを買う得するしくみ/明反応によってATPとNADPHがつくられるしくみ
  カルビン回路:二酸化炭素から糖をつくる
  ●進化との関連
   バイオ燃料工場の改良   
第2部 遺伝学
 8 細胞増殖:細胞から細胞へ 章のテーマ:有性と無性の生命
  ●生物学と社会
   オオトカゲの処女散乱
  細胞増殖の役割
  細胞周期と有糸分裂
   真核細胞の染色体/情報の流れ:染色体の複製/細胞周期/有糸分裂と細胞質分裂/がん細胞:制御不能な分裂
  減数分裂:有性生殖の基盤
   相同染色体/配偶子と有性生物の生活環/減数分裂の過程/まとめ:有糸分裂と減数分裂の比較/遺伝的多様性の起源
  ●科学のプロセス
   すべての動物に性があるか?
  減数分裂の異常
  ●進化との関連
  性の利点  
 9 遺伝様式 章のテーマ:犬の品種改良
  ●生物学と社会
   最も長期間にわたる遺伝学実験
  遺伝学と遺伝
   アビー修道院の庭で/メンデルの分離の法則/メンデルの独立の法則/検定交雑による遺伝子型の決定/遺伝の確率の法則/家系図/単一の遺伝子に起因するヒトの疾患
  ●科学のプロセス
   犬の毛並を決める遺伝的な要因は何か?
  メンデルの法則のさまざまな例
   植物とヒトの不完全優性/ABO式血液型:複対立遺伝子と共優性/構造と機能:鎌状赤血球症の多面発現性/多電子遺伝/環境要因の影響とエピジェネティクス
  染色体の挙動と遺伝
   遺伝子の連鎖/ヒトの性別の決定/伴性遺伝子
  ●進化との関連
   犬の系統樹
 10 DNAの構造と機能 章のテーマ:史上最悪のウイルス
  ●生物学と社会
   21世紀最初のパンデミック
  DNA:構造と複製
   DNAとRNAの構造/ワトソンとクリックによる二重らせんの発見/構造と機能:DNAの複製
  情報の流れ:DNAからRNA,タンパク質へ
   生物の遺伝子型による表現型の決定/核酸からタンパク質へ:概説/遺伝暗号/転写:DNAからRNAへ/真核生物のRNAプロセシング/翻訳:関与する分子/翻訳:進行の過程/概説:DNA→RNA→タンパク質/突然変異
  ウイルスなどの細胞をもたない感染症物質
   バクテリオファージ/植物ウイルス/動物ウイルス
  ●科学のプロセス
   インフルエンザワクチンは高齢者にも有効か?
   HIV:エイズウイルス/ウイロイドとプリオン
  ●進化との関連
   新興ウイルス
 11 遺伝子の発現制御 章のテーマ:がん
  ●生物学と社会
   タバコの害に関する動かぬ証拠
  遺伝子発現制御の目的と機構
   細菌の遺伝子発現制御/真核細胞の遺伝子発現制御/情報の流れ:細胞のシグナル伝達/ホメオティック遺伝子/DNAマイクロアレイ:遺伝子発現の可視化
  植物および動物のクローン技術
   細胞の遺伝的な潜在能力/動物の個体クローニング/治療型クローニングと幹細胞
  がんの遺伝的原理
   がんを引き起こす遺伝子
  ●科学のプロセス
   小児のがんと大人のがんに違いはあるか?
  発がんのリスクとがん予防
  ●体内のがんの発生
 12 DNAテクノロジー 章のテーマ:DNA鑑定
  ●生物学と社会
   有罪か無罪か――DNA鑑定
  遺伝子工学
   組換えDNA技術/製薬への応用/農業と遺伝組換え(GM)作物/ヒトの遺伝子治療
  DNA鑑定と科学捜査
   DNA鑑定技術/殺人事件の操作,親子鑑定,古代人のDNA鑑定
  バイオインフォマティクス(生命情報学)
   DNAシークエンシング(塩基配列決定)/ゲノム科学(ゲノミクス)/ゲノム地図作製技術/ヒトゲノム計画
  ●科学のプロセス
   ゲノム科学でがんを治せるか?
   ゲノム科学の応用/システム内の相互連関:システム生物学
  安全性と倫理の問題
   遺伝子組換え食品をめぐる論争/ヒトのDNAテクノロジーにより引き起こされる倫理的問題
  ●進化との関連
   Y染色体より読み解く歴史の小窓
第3部 進化と多様性
 13 集団の進化 章のテーマ:進化の過去,現在,未来
  ●生物学と社会
   現在の進化
  生命の多様性
   生命の多様性の命名と分類/生命の多様性の説明
  チャールズ・ダーウィンと『種の起源』
   ダーウィンの旅/進化:ダーウィンの理論
  進化の証拠
   化石からの証拠
  ●科学のプロセス
   クジラは陸生哺乳類から進化したのか?
   相同からの証拠/進化系統樹
  進化のメカニズムとしての自然選択
   進行中の自然選択/自然選択のキーポイント
  集団の進化
   遺伝的変異の源/進化の単位としての集団/遺伝子プールの解析/集団遺伝学と健康科学/遺伝子プールの変化としての小進化
  集団の遺伝子頻度を変えるメカニズム
   遺伝的浮動/遺伝子流動/自然選択:より詳細な観察
  ●進化との関連
   抗生物質耐性の脅威の増加
 14 生物多様性はいかに進化するか 章のテーマ:大量絶滅
  ●生物学と社会
   第6番目の大量絶滅
  種の起源
   種とは何か?/種間の生殖的障壁/進化:種分化のメカニズム
  地球の歴史と大進化
   化石記録/プレートテクトニクスと生物地理学/大量絶滅と生命の爆発的多様化
  ●科学のプロセス
   隕石が恐竜を死滅させたのか?
  大進化のメカニズム
   小さな遺伝的変化による大きな効果/生物学的新奇性の進化
  生命の多様性の分類
   分類と系統/分類:発展中の未完成品
  ●進化との関連
   哺乳類の出現
 15 微生物の進化 章のテーマ:ヒトの微生物相
  ●生物学と社会
   私たちの目に見えない住人たち
  生命の歴史におけるおもな出来事
  生命の起源
   生命の起源に関する4段階仮説/化学進化からダーウィン進化へ
  原核生物
   彼らはどこにでもいる!/構造と機能:原核生物/原核生物の生態系への影響/原核生物の進化における2つの枝:細菌と古細菌
  ●科学のプロセス
   肥満は腸内細菌のせい?
  原生生物
   原生生物/粘菌/単細胞性および群体性藻類/海藻
  ●進化との関連
   虫歯菌の甘い生活
 16 植物と菌類の進化 章のテーマ:植物と菌類の相互関係
  ●生物学と社会
   森の宝石
  陸上への進出
   植物の陸上への適用/植物は藻類から進化した
  植物の多様性
   植物進化の注目点/コケ植物/シダ類/裸子植物/被子植物/再生不能資源としての植物の多様性
  菌類
   構造と機能:菌類の特徴/菌類の生態的影響
  ●科学のプロセス
   セイラムの魔女狩り事件は菌類が原因だったのか?
  菌類の商業的利用
  ●進化との関連
   相利共生関係
 17 動物の進化 章のテーマ:ヒトの進化
  ●生物学と社会
   ホビットの発見
  動物多様性の起源
   動物とは何か?/初期の動物とカンブリアの爆発/進化:動物の系統
  無脊椎動物の主要な門
   海綿動物/刺胞動物/軟体動物/扁形動物/環形動物/線形動物/節足動物/棘皮動物
  脊椎動物の進化と多様性
   脊椎動物の特徴/魚類/両生類/爬虫類/哺乳類
  ヒトの祖先
   霊長類の進化/人類の出現
  ●科学のプロセス
   ホビットは何者か?
  ●進化との関連
   私たちは進化し続けているのか?
第4部 生態学
 18 生態学と生物圏の序論
  ●生物学と社会
   危機に瀕するペンギン,ホッキョクグマ,そして私たち人間
  生態学の概要
   生態学と環境保護/システム内の相互連関:相互作用の階層
  地球の多様な環境に生きる
   生物圏の非生物的要因/エネルギーの源/生物の進化的適応/環境変化への順応
  バイオーム
   淡水域のバイオーム/海洋のバイオーム/機構が陸上バイオームの分布に与える影響/陸上のバイオーム/システム内の相互連関:水の循環/バイオームへの人為インパクト/森林
  地球の気候変動
   温室効果と地球温暖化/温室効果ガスの蓄積
  ●科学のプロセス
   気候変動は、生物種の分布にどのように影響するのか?
   生態系に対する気候変動の影響/私たちの将来を見つめる
  ●進化との関連
   自然選択の要因としての気候変動
 19 個体群生態学
  ●生物学と社会
   ミノカサゴの侵入
  個体群生態学の概要
   個体群密度/個体群の齢構造/生命表と生存曲線/進化:進化的な適応としての生活史特性
  個体群成長モデル
   指数関数型の個体群成長モデル:環境の制約のない理想的な条件の場合/ロジスティック個体群成長モデル:環境に制約のある現実的な条件の場合/個体群成長の調節
  個体群生態学の応用
   絶滅の危機に瀕した種の保全/持続可能な資源管理/侵略的外来種/有害生物の生物学的防除
  ●科学のプロセス
   生物学的防除でクズを駆除できるか?
   統合化された病虫害管理
  人口増加
   人口増加の歴史/齢構造/私たちのエコロジカルフットプリント
  ●進化との関連
   侵略種としてのヒト
 20 生物群集と生態学
  ●生物学と社会
   生物多様性はなぜ重要なのか?
  生物多様性の消失
   遺伝的多様性/種の多様性/生態系の多様性/生物多様性を減少させる要因
  群集生態学
   種間の相互作用/栄養構造/群集の種多様性/群集の攪乱/生態学的遷移
  生態系生態学
   エネルギー変換:生態系のエネルギー流/システム内の相互連関:生態系の化学的循環
  保全生態学と復元生態学
   生物多様性の「ホットスポット」/生態系レベルの保全
  ●科学のプロセス
   熱帯林の分断化は生物多様性にどのような影響を与えているのか?
   生態系を復元する/持続可能な発展の目的
  ●進化との関連
   バイオフィリアは生物多様性を救えるか?
付録
 A:単位換算表
 B:周期表
 C:写真および図の出典
 D:セルフクイズの答え
用語集
索引

出版社からのメッセージ

本書は『エッセンシャル・キャンベル生物学』(2011年6月刊)の改訂版です。

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(本体7,000円+税10%)
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